2024年1月から、非課税で資産運用を行うことができるNISA制度が新しくなりました。
新NISAでは投資できる金額が大幅にアップし、無期限で運用できるようになるため、60歳以上の高齢者の方も、ますます便利に利用することができるでしょう。
今回は、60歳以上の人が新NISAで資産運用をした場合、どのくらいお金を増やすことができるのかシミュレーションをしてみます。
1. 高齢者が新NISAで資産運用を行うメリット
仕事を退職した60歳代や70歳代などの高齢者の場合、「今さら資産運用を始めても遅すぎる」と感じているかもしれません。
しかし、高齢者でも新NISAを使って資産運用を行うと、さまざまなメリットがあります。
具体的に確認していきましょう。
1.1 比較的安全な商品を選びやすい
新NISAを活用すると、自分で一から商品を探すよりも、安心して投資ができる商品を選びやすいというメリットがあります。
仕事を退職した高齢者の場合、今後大きな収入が得られる可能性が低いため、複雑な商品や、リスクが高い商品に投資をするのは危険です。
比較的安全性が高く、商品の仕組みが分かりやすいものに投資していくのがよいでしょう。
新NISAの場合、あらかじめ金融庁の基準を満たした、長期、積立、分散に向いている投資信託が厳選されています。
この中から、手数料(信託報酬)が低く、投資先が分かりやすい、インデックス投資信託などを選べば、高齢者の方でも資産運用にチャレンジすることができます。
1.2 すぐに現金化ができる
新NISAで運用している投資信託は、いつでも売却して現金化することが可能です。
急に医療費などまとまったお金をすぐに用意したい場合でも、新NISAの預かり商品を売却すればよいので安心ですね。
一方、高齢者が加入していることが多い保険の場合は、保険金の支払い要件が決まっているため、いつでも自由にお金を引き出すことができません。
この観点のみでいうと、保険よりも自由度が高いと言えるでしょう。
1.3 長期の資産運用が可能
新NISAは、今までのNISAとは異なり、資産運用を行う期間が無期限になりました。
運用限度額までは、一生資産運用を続けることが可能です。
例えば、60歳から新NISAを始めたとしても、非課税で20年、30年と長期投資をすることもできます。
長期投資を行うことで、利益が雪だるま式に増えていく複利の効果を活かし、お金を増やすことができるでしょう。
2. 60歳の資産運用シミュレーション
では、実際にどのくらいお金を増やすことができるのか、シミュレーションを行ってみましょう。
2.1 <毎月5万円、年率3%で20年間>
60歳の人が毎月5万円を年率3%で20年間積立投資した場合、以下の通りとなります。
- 投資元本:1200万円
- 運用利益:441万5000円
- 運用結果:1641万5000円
- 非課税効果:88万3000円
月5万円を積立投資すると、1年間で60万円を投資し、20年間で投資元本は1200万円となります。
年3%で運用できたとすると、利益は441万5000円となり、20年後には合計で1641万5000円となりました。
一般の課税口座で資産運用を行った場合には、利益に対して約20%の税金がかかりますが、新NISAは、すべて非課税となります。
このシミュレーションの場合、本来利益にかかる税金約88万3000円(441万5000円×0.2)は非課税となり、自分のお金にすることが可能です。
60歳から資産運用を始めると20年後には80歳ですが、まだ元気に生活している可能性もありますね。
この運用したお金は、老後の重要な資金源となります。
2.2 <毎月10万円、年率5%で15年間>
次に、投資元本が比較的多い60歳の人が、毎月10万円を年率5%で15年間積立投資した場合をシミュレーションしてみましょう。
- 投資元本:1800万円
- 運用利益:872万9000円
- 運用結果:2672万9000円
- 非課税効果:約174万6000円
月10万円を積立投資すると、1年間で120万円を投資し、15年間で投資元本は1800万円となります。
新NISAでの投資限度額は、つみたて投資枠で1800万円までとなっているので、限度額ギリギリまで投資したことになります。
年5%で運用できたとすると、利益は872万9000円となり、15年後には合計で2672万9000円となりました。
本来利益にかかる税金約174万6000円(872万9000円×0.2)は非課税となります。
退職金などで、運用資金に余裕がある人の場合、毎月10万円投資をすると、その分利益も大きくなります。
さらに運用利率5%くらいをキープすることができれば、15年後には、投資元本を1.5倍くらいまで増やすことが可能です。
これだけお金があれば、充実した老後の生活を送ることができるでしょう。
3. 新しいNISAに向けて
60歳代でも70歳代でも、投資を始めるのに遅すぎるという年齢はありません。
そして2024年から新しくなったNISAを活用すれば、節税しながらお金を増やすことが可能です。
ただし、投資には必ずリスクがあることを忘れてはいけません。
今回ご紹介したシミュレーション結果を参考にしながら、老後の資産運用計画を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
下中英恵FP事務所 下中 英恵