50歳代から60歳代にかけて貯蓄は平均値・中央値とも増えますが、年収については50歳代の方が高水準です。
その理由のひとつが、2023年には公務員にも導入された「役職定年」だと考えられます。
60歳代半ばで定年を迎える方が多いほか、この役職定年制度により、年収が下がる世帯もあることが背景にあります。
1. 50歳代・60歳代の貯蓄状況
50歳代の二人以上世帯の貯蓄状況は、【図表1】のとおりです。
1.1 50歳代ではおよそ18%の世帯が貯蓄2000万円を達成
- 非保有 :24.4%
- 100万円未満 :9.3%
- 100万円~200万円未満 :5.8%
- 200万円~300万円未満 :4.2%
- 300万円~400万円未満 :5.1%
- 400万円~500万円未満 :3.2%
- 500万円~700万円未満 :5.0%
- 700万円~1000万円未満 :5.7%
- 1000万円~1500万円未満:8.8%
- 1500万円~2000万円未満:6.0%
- 2000万円~3000万円未満:7.2%
- 3000万円以上 :10.8%
- 無回答 :4.6%
50歳代ではすでにおよそ18%の世帯が貯蓄2000万円を達成しています。
一方で、金融資産非保有の世帯も24%ほどいて、世帯間で格差が発生しています。
なお貯蓄額の平均は1253万円で、中央値は350万円です。
1.2 60歳代は金融資産非保有の世帯が20%超
続いて60歳代の貯蓄状況は【図表2】の通りです。
- 非保有 :20.8%
- 100万円未満 :6.1%
- 100万円~200万円未満 :5.5%
- 200万円~300万円未満 :3.3%
- 300万円~400万円未満 :3.2%
- 400万円~500万円未満 :3.4%
- 500万円~700万円未満 :5.3%
- 700万円~1000万円未満 :6.1%
- 1000万円~1500万円未満:8.6%
- 1500万円~2000万円未満:5.7%
- 2000万円~3000万円未満:8.8%
- 3000万円以上 :20.3%
- 無回答 :2.9%
2000万円以上の資産を持つ世帯は約3割となります。
一方で、金融資産非保有の世帯も20%超います。
貯蓄額の平均は1819万円に達している一方で中央値は700万円に留まり、老後資産2000万円の形成に成功した世帯は多くありません。
2. 50歳代・60歳代の年収状況
続いては、それぞれの年代の二人以上世帯の年収状況を見ていきましょう。
50歳代の年収分布は【図表3】のとおりです。
2.1 50歳代の平均年収は660万円
- 収入はない:4.1%
- 300万円未満:12.2%
- 300~500万円未満:18.9%
- 500~750万円未満:30.3%
- 750~1000万円未満:16.3%
- 1000~1200万円未満:7.8%
- 1200万円以上:10.3%
- 無回答:0.1%
50歳代の平均年収は660万円、中央値は600万円です。
貯蓄と比べると平均値と中央値の差が小さいのが特徴です。
年収1000万円を超える世帯はおよそ18%いる一方で、およそ3割は500万円未満に留まります。
2.2 60歳代の平均年収は526万円
つぎに、60歳代は【図表4】のとおりです。
- 収入はない:3.1%
- 300万円未満:20.8%
- 300~500万円未満:31.1%
- 500~750万円未満:24.3%
- 750~1000万円未満:10.0%
- 1000~1200万円未満:4.6%
- 1200万円以上:6.1%
- 無回答:0.0%
50歳代より60歳代の方が、高収入の世帯は減少します。
たとえば、1000万円を超える世帯は10%強にとどまっています。
60歳代半ばで引退する方が多いのと、役職定年などにより年収が下がる世帯が相対的に多い点が背景にあると考えられます。
なお、平均年収が526万円、中央値が425万円と、いずれも50歳代と比べて低水準です。
60歳代にさしかかると、年収が下がる可能性が高い点に留意しましょう。
3. 公務員にも導入された役職定年制度とは?
役職定年制度とは、一定の年齢に達したら管理職を解き、定年まで役職なしの状態で雇用する制度のことです。
若手の昇進を促進するためにポストを開けるため、もしくは組織全体の平均給与を抑える目的などで導入されます。
一般企業ではすでに盛んに導入されていますが、2023年から公務員にも導入されて話題となりました。
4. まとめにかえて
役職定年を迎えると管理職に支給されていた手当がなくなるため、一般に給与水準が大きく低下します。
企業の給与体系にもよりますが、数十%単位で低下するケースも珍しくありません。
老後資産の形成に向けては、人生後半の年収低下に留意して保守的なマネープランを策定する必要があります。
参考資料
太田 彩子