2. 高齢者の住まいに関する国の施策
国土交通省では「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」の中で、高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドラインについて次の8つの配慮項目と改修する空間を挙げています。
上記の中で特に温熱環境、外出のしやすさ、トイレ・浴室の利用のしやすさ、日常生活空間の合理化の4つを重要項目としています。
そして次の2つを重要なポイントとして掲げています。
- 長期間の退職後の暮らしを豊かにするためには、住まいの備えが不可欠。
- 高齢期にさしかかる前の可能な限り早い段階において、自らの判断に基づき、高齢期の住まいや住まい方を選択し、必要な場合には住まいの改修を行うことが望ましい。(上記ガイドラインを参照)
3. 老後の生活に備えるために
老後の住まいについては、シニア向け住宅への住み替えや住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅への入居などがありますが、できるだけ長く住み慣れた今の住宅に住み続けたいという方が大半を占めているようです。
したがって元気なうちにリフォームや必要な箇所の修繕を行って、老後の生活に備えることが大切です。
ただしどんなに建物が快適になったとしても、駅や商店街から離れていて自家用車が欠かせない立地の場合には、やはり高齢になると暮らしにくいものです。
現在車を所有している方は、一度車を手放した後の暮らしぶりについても検討しておきましょう。
ほかにも庭の手入れや清掃、建物の定期的なメンテナンス、防犯面での不安などもあるので、老後の住まいをどうするのかについては、あらゆる場面を想定した上で慎重に判断することが大切です。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」
- 株式会社ハルメクホールディングス「【シニアの『住まい』に関する調査】「死ぬまでずっと今の住まいに住み続けたい」シニアは半数を超え53.0%。今後住宅リフォーム意向がある人は約3割。リフォーム経験者の平均費用は約383万円。」
- 国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」
亀田 融