「年金を多くもらうには、年金の繰下げ受給がおすすめ」と聞いたことがある方は、結構多いのではないでしょうか。
年金の繰下げ受給とは、原則65歳から受給開始となる年金を受け取らずに、開始を遅らせる(繰下げる)ことで、もらえる年金を増やす制度です。
1か月繰下げすれば年金が0.7%増えます。
仮に70歳まで繰下げると年金は42%増え、75歳まで繰下げると年金は84%も増額します。年金が増えることは大きなメリットです。
12月15日は今年最後の年金支給日でしたが、さぞ多くの人が繰下げ受給を選ぶのでは?と思うかもしれません。
しかし、実際はそうでもありません。
年金の繰下げ受給が「老後対策の定番」にならない理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
1. 老齢厚生年金を繰下げ受給する人の割合「2021年度では1.2%」
まずは、老齢厚生年金を繰下げ受給した人の割合を、厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」でみてみましょう。
2017(平成29)~2021(令和3)年度までの5年間で、老齢厚生年金の受給権者のうち繰下げを選んだ人の割合は、以下のとおりです。
【老齢厚生年金の繰下げを選んだ人の割合】
- 2017(平成29)年度:0.7%
- 2018(平成30)年度:0.7%
- 2019(令和元)年度:0.8%
- 2020(令和2)年度:1.0%
- 2021(令和3)年度:1.2%
2017(平成29)年度の時点では0.7%でしたが、5年経過した2021(令和3)年では1.2%。
1.7倍になっているとはいえ、全体でみると繰下げ受給をしている人は僅かしかいません。
ほとんどの人は、65歳になった時点で年金をもらい始めているようです。
その理由としては、以下の繰り下げ受給の4つのデメリットが関係していると考えられます。