2. 繰下げ受給のデメリット1:加給年金の対象外となる
加給年金とは、厚生年金保険に20年以上加入しているなどの厚生年金者が、一定条件を満たす配偶者や子どもがいるときに上乗せされる家族手当のようなものです。
たとえば夫が老齢厚生年金をもらう際、条件を満たす妻がいれば、加給年金額は年額39万7500円です。
仮に、妻が5歳年下の60歳であれば65歳までの5年間が加給年金の対象となり「39万7500円×5年=198万7500円」が夫の老齢厚生年金に上乗せとなります。
しかし、加給年金は繰下げ受給の増額の対象にはなりません。
また、繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、加給年金額を受け取ることができません。
加給年金のことを知らずに、夫が繰下げ受給をしてしまうと、本来もらえるはずの加給年金がもらえなくなってしまいます。
3. 繰下げ受給のデメリット2:年金の増額に応じて社会保険料や税金も上がる
年金が増額となれば、それに応じた社会保険料(国民健康保険料・介護保険料)、税金を負担することになります。
仮に、65歳からもらうはずの年金200万円(年額)を5年繰下げして、70歳からもらい始めれば42%増の284万円です。
しかし、年金が増えることにばかり意識が集中していると、控除される社会保険料などのことがスッポリ抜けてしまい、手取り額は「思ったほど多くはならなかった…」という場合があります。
そうならないためには、事前のシミュレーションが大事です。
4. 繰下げ受給のデメリット3:共済組合等の老齢厚生年金があれば同時に行うことに
老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げ受給は別々で行えます。
老齢基礎年金は65歳から通常通りもらい、老齢厚生年金だけを繰下げ受給することが可能です。
この場合、人によっては日本年金機構とは別に共済組合等から複数の老齢厚生年金(退職共済年金)を受け取ることができる場合があるかもしれません。
その際、老齢厚生年金の繰下げは、共済組合等の老齢厚生年金もあわせた繰下げとなります。