日本最大級のクルマのイベントである東京オートサロン

毎年、正月明けのビッグイベントと言えば、幕張メッセで開催される「東京オートサロン」だろう。今年も1月12日~14日の3日間にわたって開催され、延べ31万9030人が来場した。チューニングカーやカスタムカーの展示だけでなく、屋外会場ではドリフトマシンが爆走したり、イベントステージではライブが行われたりするお祭りでもあり、東京モーターショーに次いで規模が大きい。

今回、オートサロン初の試みとして、国内外のコレクターを対象にした「東京オートサロン・オークション with BH Auction」を開催した。オークションを運営するのは株式会社BHJ(代表:武井真司)で、東京オートサロンとのコラボで実現に至った。コンダクターはクリス・ペプラー氏、開会宣言は堺正章氏が務め、クルマ好きの哀川翔氏も来場した。

「ミッレミリア」や「ラ・フェスタ・ミッレミリア」にも出場しているクルマ好きの堺正章氏

コレクタブルカーのオークションは日本初

日本の中古車の多くはオークションを通して取引されているため、オークション自体は珍しいものではない。しかし、BH Auctionに出品されるクルマは、世界中のコレクターが欲しがる、ヴィンテージカーやクラシックカー、スーパーカー、ハイパーカーなどの、希少価値がとてつもなく高い、コレクタブルカーだということが大きな違い。

コレクタブルカーともなると、値段をつけるのがとても難しく、中古車店で取り扱ったとしても、値段は公表せずに「ASK」としていることが多い。だからこそ、コレクタブルカーは欲しい人に値段を付けてもらう方式のオークションが合っているとも言えるのだ。

幕張メッセのイベントホールに、オークションにかけられる16台が展示された

今回のオークションの最高落札金額は1億7300万円

今回のオークションに出品された中で一番の注目は、日産ワークスが1990年のル・マン24時間レースに参戦した、グループCマシンである日産R90CK。コンディションが良く、すぐにでも走らせることができるという。ただ、レース車両ということもあり、実際に走らせるのは簡単にはいかない。

また、北米日産が純正パーツを集めて240Zをレストアして、ヴィンテージZとして限定販売したモデルも出品された。もともと200台限定だったのだが、応募者が殺到したのと、レストアに要する時間や費用の関係から37台しか生産されなかったレアモデルだ。日本に入ってきた3台のうち、2台を出品したのだが、リフトに上げた状態で保管された、いわゆる納屋物として、ほこりをかぶったまま出品していた。

その他には日本車初のボンドカーである1967年式トヨタ2000GT、トップシークレットがチューニングを施した1994年式トヨタ・スープラ(TS8012V)、1968年式ホンダS800など、厳選されたクルマが全部で16台。

今回、最高落札金額をつけたのが日産R90CK。スタート価格は9000万円で、1億5000万円まではあっという間に入札があり、1億7300万円で落札された。次に高額だったのがトヨタ2000GTの7600万円、DE-TOMASO PANTERA GROUP4が3300万円、2002年式日産SKYLINE GT-R V-SPECⅡ NÜR “BNR34”が3200万円、2007年式SPOON NSX-R GT VERSIONが1700万円となった。

今回、最高落札金額だったのは日産R90CKの1億7300万円

 

1996年式のDATSUN 240Z “VINTAGE Z”のシルバーは900万円、イエローは1200万円で落札

BH Auctionのルールとは?

BH Auctionに参加できるのは、あらかじめ登録しているビッダー(登録入札者)のみとなる。入札の際には番号が書かれたビッターズカードを高くあげるのが合図で、6人のビッターズレフェリーが入札の確認を行う。また電話での入札、フォーンビッドも可能なため世界中から入札に参加していた。

それぞれのクルマには最低落札金額が決まっていて、金額に達しなければ不成立となる。会場で入札があると、電話でそれを上回る入札があったりして、最高金額が更新されるたびに、会場では応援の拍手と歓声、さらに驚きのため息が交差していたのが印象深かった。

今回のオークションでは2台の車両が事前検査で不具合が確認されたのと、1台が出品取り消しになったため、落札車両は13台となり、合計落札金額は4億5067万円(手数料含む)だった。落札価格には10%の別途手数料がかかり、さらに日本国内での落札者は、表記価格に対して消費税もかかる。

安全な運営体制にするために三井住友銀行をパートナーに

大切なコレクタブルカーと大金が動くオークションで重要なのが透明性や安全性、正確性だ。ネットでのオークションではトラブルが絶えず、詐欺まがいのものまで存在するからだ。

BH Auctionでは取り扱う金額が大きいだけに、三井住友銀行(SMBC)の信託サービスを活用することで、オークション取引の決済資金を分別管理している。代金決済としてエスクローサービスを導入し、売り主と買い主の間に第三者の銀行が入ることで透明性や正確性を担保し、代金決済を円滑に行う。

今回は日本初の試みであったコレクタブルカーのオークション。落札者は自分が乗るためなのか、投資目的なのかはわからないが、これから増え続ける希少車の安全、正確な取引きのひとつの形態として、BH Auctionが注目を集めそうだ。

鈴木 博之