2023年11月22日に発表された、養命酒製造株式会社2024年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:養命酒製造株式会社 取締役副社長執行役員 田中英雄 氏
目次
田中英雄氏:みなさま、おはようございます。養命酒製造株式会社、取締役副社長執行役員の田中です。お忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございます。本日はご覧の内容をご説明します。
損益計算書
2024年3月期第2四半期の決算概要についてご説明します。まず、損益計算書についてです。国内養命酒の売上が前年を下回ったことにより、売上高は前期比4.8パーセント減の49億1,600万円、営業利益は前期比76.6パーセント減の1億5,400万円、経常利益は前期比52.0パーセント減の4億1,900万円、四半期純利益は前期比54.0パーセント減の2億8,100万円となりました。
なお、売上高は業績予想を下回ったものの、減益要因が織り込み済みであること及び広告販促費等の経費節減により、利益水準は想定を上回る推移となりました。
営業利益増減分析
営業利益の増減分析についてご説明します。2023年3月期第2四半期の営業利益6億6,000万円から、2024年3月期第2四半期は1億5,400万円となりました。
減少要因は、売上減少に伴う売上総利益減少の影響が1億5,500万円、原材料価格高騰の影響が1億6,400万円、くらすわ関連事業の先行投資が1億3,800万円、本店ビル更新工事が9,000万円です。
増加要因は、経費節減による4,100万円です。なお、本店ビル更新工事費用については、今期限りの特殊要因です。
セグメント別の売上高
セグメント別の売上高です。養命酒関連事業は、物価上昇による消費行動の変化をはじめとした複合的な要因で国内養命酒の売上が減少したことにより、前期比6.9パーセント減の43億5,400万円となりました。
また、くらすわ関連事業は、「くらすわ」店舗にて新型コロナウイルス感染症の影響を受けて減少していた来客数が引き続き回復していることにより、前期比16.1パーセント増の5億6,200万円となりました。
貸借対照表
貸借対照表です。資産合計は、2023年3月末比で32億2,600万円増加し、527億8,900万円となりました。これは、主に保有株式時価評価額の増加によるものです。
負債合計は7億5,900万円増加し、75億3,200万円となりました。これは、主に保有株式時価評価に伴う繰延税金負債の増加によるものです。
純資産合計は24億6,700万円増加し、452億5,700万円となりました。なお、自己資本比率は85.7パーセントであり、健全な財務基盤を維持しています。
キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書です。営業活動の結果により減少した資金は1億1,000万円となりました。これは、主に税引前四半期純利益の減少と法人税の支払額の増加によるものです。
投資活動の結果により増加した資金は5億2,500万円となりました。これは、主に定期預金の払い戻しによる収入と、固定資産取得に係る支出によるものです。
財務活動の結果により減少した資金は7億5,800万円となりました。これは、主に配当金の支払いによるものです。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は3億4,300万円減少し、18億3,000万円となりました。
中期経営計画(2022年4月~2027年3月) 主要方針
各事業の取り組みです。まず、中期経営計画の主要方針をご説明します。中期経営計画は、計画期間を2022年4月から2027年3月までの5年間とし、当社が2023年6月に創立100周年を迎えることから、基本戦略を「次の100年に向けた成長投資と持続的成長基盤の確立」と定めました。
「養命酒」及び酒類・食品の卸売販売を中心とする既存事業の収益力強化による「深化」と、これまで取り組んできた「くらすわ」ブランドを中心とした新たな事業基盤の構築による「探索」を同時に行う「両利きの経営」を推進し、収益性を確保しつつ成長投資を行い、新たな企業価値の創造に取り組んでいます。
戦略課題としては、効率を重視した既存事業の収益力強化、「くらすわ」ブランドを軸としたダイレクトチャネル事業の構築、サステナビリティ経営の推進、事業領域の拡大に向けた多様な人材活用と人的資本・知的財産等の無形資産への投資の4つを設定しています。
計画最終年度の2027年3月期定量目標としては、売上高200億円以上、営業利益率10パーセント、ROE4パーセントを目指しています。
養命酒関連事業(国内養命酒)
各事業の取り組みについてご説明します。国内養命酒については、プロモーションとして、引き続き草刈正雄さん出演のテレビCM及び新聞広告、Web広告等を実施しました。また、店頭では、卸店やドラッグストアと協働した店頭陳列の強化や販売促進を行い、売上高は前期比8.6パーセント減の35億6,200万円となりました。
養命酒関連事業(酒類・食品)
酒類・食品については、採算性改善のため一部商品の値上げを実施したほか、重点商品を推進し、販促費、流通費等のコスト削減、営業の効率化を推進してきました。
売上高は、主に「養命酒製造クロモジのど飴」が寄与したほか、「グミ×サプリ」も堅調に推移し、前期比2.2パーセントの増の3億7,800万円となりました。
養命酒関連事業(海外)
海外については、「養命酒」で販売地域に合わせた広告、販促活動を実施しました。酒類は「クラフトジン」を中心に商談を進め、オーストラリアや台湾、香港等へ輸出を行い、台北支店では「フルーツとハーブのお酒 スパークリング」を促進しました。
売上高は、コロナ禍後の経済状況の回復や販促活動等により、香港・マレーシアの「養命酒」の売上が伸長し、前期比4.2パーセント増の2億2,200万円となりました。
くらすわ関連事業
くらすわ関連事業についてです。店舗では、人流及び外国人観光客数の回復に合わせた店舗運営とイベントの実施等を行いました。通販は、「くらすわ」商品の販売強化、通販新商品の開発及び発売を行い、外販(他社チャネル販売)は、季節に合わせたギフト等の提案による郵便局等の既存取引の拡大と、新規取引先の開拓に取り組みました。
売上高は、全体では新型コロナウイルス感染症の影響を受けて減少していた国内外の来客数が回復しており、売上高は前期比16.1パーセント増の5億6,200万円となりました。
中期経営計画の主要方針に基づく取り組み
2024年3月期上期の各事業の取り組みについては、ここまでにご報告したとおりです。そのほかの取り組みとして、DMP、RPA等のデジタル技術を活用した顧客拡大施策と業務効率化の推進を行いました。
また、引き続きサステナビリティ経営を推進し、重要課題別に取り組み内容および短期KPIを設定したほか、新たにTCFDに沿った気候変動情報と人的資本・気候変動に関する指標と目標を公開しました。また、育児休業制度周知のための窓口を設置しています。
下期重点施策
2024年3月期下期の施策と見通しです。まず、養命酒関連事業の下期重点施策です。「養命酒」は、最需要期におけるテレビCMを中心とした広告宣伝活動、販促物を活用した店頭施策と購入促進施策により、新規飲用者の獲得と継続飲用者の維持を目指します。
酒類は「クラフトジン」のほか、「高麗人参酒」等、ハーブのお酒を中心に、食品は「養命酒製造クロモジのど飴」「グミ×サプリ」「五養粥」を中心に、ドラッグストア、スーパー等の既存取り扱い店のほか、生協および調剤薬局の開拓を積極的に進め、通年商品としての定番化を目指します。
プロモーション(養命酒)
11月1日から放映中の「養命酒」のテレビCMは、引き続き草刈正雄さんにご出演いただいています。今回は「父と娘」篇として、草刈正雄さん演じる父とその娘が、お互いの健康への想いを確かめるように、2人で「養命酒」を飲むシーンを取り上げました。「養命酒」が血行を良くし、丈夫な体に導くことを訴求しています。CMは、現在地上波にて全国放映しているほか、当社ホームページでもご覧いただけます。
下期重点施策
くらすわ関連事業の下期重点施策です。店舗はスタッフの採用や人材育成に注力し、国内の人流および外国人観光客の戻りに対応した運営に努めます。
通販は新商品のPRに加え、DMP顧客リストへのカタログ送付等を行い、ブランド認知および売上向上を目指していきます。
外販(他社チャネル販売)は、既存顧客との取引拡大を進めるとともに、引き続きカタログ販売の新規取引先開拓を中心に活動していきます。
下期重点施策
また、新サービスとして、産直・お取り寄せECサービス「くらすわマルシェ」を開始しました。「くらすわマルシェ」は、「くらすわ」のバイヤーが選りすぐった商品をインターネットサイトからご注文いただけるサービスです。「信州十四豚と南信州野菜のしゃぶしゃぶセット」など、こだわりの商品を取り扱っています。
また、新たに通信販売専用ブランド「まいにち養生365」を展開し、日々感じる健康への不安や悩みに寄り添い、みなさまの健康をサポートします。第一弾として、漢方製剤「当帰芍薬散」を自社オンラインショップにて新発売しています。今後は漢方製剤や機能性表示食品、健康サポートフーズ・グッズ等を展開していきます。
通期業績(予想)
通期業績予想です。2023年5月10日に発表した数値から変更はありません。養命酒関連事業での国内養命酒の販売強化や、くらすわ関連事業の通信販売および新サービス「くらすわマルシェ」への注力、自社以外のチャネルにて販売を行う外販の強化により、売上高は前期比5.6パーセント増の112億4,000万円となる見込みです。
また、引き続きエネルギーや原材料価格の高騰によるコスト負担の増加や、広告宣伝費、商品開発等のくらすわ関連事業に係る先行投資により、営業利益は前期比33.2パーセント減の7億2,000万円、経常利益は前期比25.0パーセント減の11億1,000万円、当期純利益は前期比18.7パーセント減の8億3,000万円を見込んでいます。
セグメント別売上高(予想)
セグメント別売上高の予想です。養命酒関連事業全体の売上高は、前期比0.5パーセント増の97億4,000万円を見込んでいます。内訳として、国内養命酒は前期比0.1パーセント増の79億9,000万円、酒類・食品は前期比2.9パーセント増の9億1,000万円、海外は前期比6.2パーセント増の4億7,000万円、不動産賃貸・太陽光発電は前期比1.2パーセント減の3億6,000万円を見込んでいます。
また、くらすわ関連事業全体では、前期比57.1パーセント増の15億円を見込んでいます。
「くらすわの森」新施設建設の進捗状況
トピックスについてお話しします。長野県駒ヶ根市にある当社工場敷地内の「くらすわの森」に建設中の新施設の進捗状況のご報告となります。
こちらは、当社の創立記念日である6月20日に起工式を実施しており、8月から建設を開始しています。2024年秋のグランドオープンに向けて、引き続き建設および準備を進めていきます。なお、新施設に含まれるコンテンツは、レストラン、菓子工房、ベーカリー、森のプレイパーク、森のライブラリーなどを予定しています。
田中氏からのご挨拶
最後になりましたが、おかげさまで当社は2023年6月20日に会社創立100周年を迎えることができました。長きにわたり支えてくださったすべてのみなさまに心より感謝を申し上げます。今後とも一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。