EV用バッテリー市場の今後の見通し

カウンターポイント社シニアアナリストSoumen Mandal氏は、EV用バッテリー市場の今後の見通しについて以下のように述べている。

「2023年上半期にEVが搭載したバッテリー容量の平均は50kWhだった。小型車、コンパクト車、ミニのEVが増えており、特に中国でそれが顕著だ。

そのため、バッテリー容量の平均は、増えたとしても2030年で65kWhから70kWhになるだろう。それでも、この数字によれば2030年にEVが産み出す電池の需要は4TWhに達することになる」

Soumen Mandal氏は、以下のように述べてレポートを締め括っている。

「バッテリーの需要が増し、地政学的な緊張と相まって、EV用バッテリーの主要原料であるリチウムの価格に上昇圧力が強まっている。

このため、バッテリーメーカー各社は、ナトリウムイオンなど代替化学物質を探している。それによってバッテリーコストを抑え、EVを買いやすくするためである。

「CATL」は既にナトリウムイオン電池でブレークスルーを達成しており、間もなく量産規模で採用される見通しである。ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池と比較してエネルギー密度が低いため、高性能EV車種には向かない。

そのため、ナトリウムイオン電池は電動バイクや電動三輪車、それに小型乗用車で主に採用されるだろう。「Chery(中国)」が新型スマートEVブランド「iCar」に、2024年の早期にCATL製のナトリウムイオン電池を搭載するとみられる。

その一方で、全固体電池は未だ研究開発段階で、実用化にはまだしばらくかかりそうである。

安価な全固体電池の実現は今後の大きな課題である」

参考資料

石川 貴康