仕切り直しは成功するか?
12.1050円に上昇 → 買付
「1000円で売るんじゃなかった! 900円で買っておけばよかった。まだ上がりそうだから1050円で買おう!」
イライラして、冷静な判断ができない状態。
13.1100円に上昇
「1050円で買ってよかったけど、900円で買っていればもっとよかったのに」
上がったことに悪い気はしていないが、「思い通りに株価が動かなかったら許さないからな」くらいの思いを持っている。
14.1000円に下落
「俺が売ったら上がって、買ったら下がりやがって!」
怒りが収まらず、イライラは最高潮。
15.900円に下落
「もうダメだ……」
再度、血の気が引いている。
16.さらに800円に下落
「もう見たくもない! こんな会社、大嫌いだ!」
絶望の状態。その会社に対する怒りも最高潮に。
17.さらに下落し、低迷状態に
「……」
怒りを通り越し、あきらめの状態。株価を見ても不愉快になるだけなので、見もしないようになり、そして塩漬けに……。
投資未経験者には理解できない心理
このケースでの売り買いの結果は、
・1000円で買付、1200円で売却[+200円]
・1400円で買付、1000円で売却[-400円、累積-200円]
・1050円で買付、その後、塩漬け
となっています。
投資をしたことのない方は「なんでそうなるの? 安いところで買って高いところで売ればいいじゃない」と思うかもしれませんが、冒頭にも触れたように、知らず知らずのうちにこのような心理に陥ってしまう人が非常に多いのです。
株式のケースで見ていったので、多少、極端ではありますが、たとえば投資信託でも、(ここまで極端ではないにしろ)同じような心境になってしまう人も多いのではないでしょうか。
まとめ
上記のような「逆鉄則」を取ってしまう人の共通点は、「積極投資型」のスタンスを取っていることです。
積極投資型とは、「すぐに儲かりそうなもの」を欲していて、短期でより大きなリターンを得ようとしているスタンス。株価の動きはある程度、予測できると考えており、そのため小さな変動にも感情が揺れ動いて「一喜一憂」します。その「一喜一憂」の感情に乗せられて、焦りから売ったり買ったりを繰り返してしまい、気づいたら「高いときに買って、安いときに売る」という状態に陥ってしまうのです。
失敗を避けるには、「積極投資型」のスタンスを意識的に捨て、すぐに結果を求めないことです。
手軽に、身近になってきている投資。しかし、その分、「短期でリターンを求める人」が増えてきています。そのような投資は、マーケットのちょっとした上下に心を乱されて疲れてしまうだけでなく、多くの場合、よい結果をもたらしません。少なくとも一度、あなたが持っている銘柄が真価を発揮するまで待ってみることも必要ではないでしょうか。
(『投資信託でうまくいく人、いかない人』をもとに編集)
■ 白石 定之(しらいし・さだゆき)
中学3年のときから父の勧めで株式投資を始める。慶應義塾大学理工学部を卒業後、日立製作所、野村證券を経て独立。IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として活動後、マネーブレイン株式会社を設立、代表取締役に就任。
『投資信託でうまくいく人、いかない人 「定年世代」が上質なセカンドライフをつくる方法』
白石 定之