1. ソニーグループ(6758)は2023年初は業績順調も映画事業・金融事業が影響か

ソニーは、2022年度にあたる2023年3月の段階まで業績は順調でした。

ゲームや音楽、エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S|テレビなどの製造事業)など、金融を除く各セグメントで売上が拡大しています。

また、ゲームでは主力商品のPS5の供給体制が改善して、販売増に繋がったことも示されています。

一方で、2023年度第1四半期での業績では金融事業の減益が前年同期比▲847億円の545億円(営業利益ベース)でした。

ただし、これはIFRS第17号という新基準適用によるもので、一過性の要因となっています。

そのほか、映画事業では大型作品の減少等により売上高が前年同期⽐▲210億円減、営業利益も同▲347億円減など減収減益となっています。

連結の業績も、営業利益で前年同期比▲1118億円の減益です。

それでも第1四半期で2530億円の営業利益(前年同期は3649億円)の利益は確保していて、極端に業績が悪化したわけではありません。

しかし、6月ごろまで株価が上昇基調だったこともあるせいか、夏場以降は上値が抑えられていたと考えられます。

2. ソニーの事業における主なリスク

それでは、ソニーのリスクを同社有価証券報告書「事業等のリスク」をもとに見てみましょう。

同社は多様な事業セグメントを抱えているのが特徴です。「事業等のリスク」でも、各事業それぞれとの競合激化がリスクとしてあげられています。

足元でも金融・映画の業績減速が見られているように、さまざまな事業を行っている分、そのなかの一部の業績悪化が株価へ影響を与える場合も考えられます。

ただし、事業ポートフォリオが分散しているため、各事業が全社に与えるインパクトは(単一セグメントの企業と比べて)抑えられる可能性もあるしょう。

また、世界中で事業を行っていることから、為替変動が業績や株価に与える影響は少なくないでしょう。

近年では半導体が同社生産に影響したように、資源や原料のサプライチェーンや資源価格の変動も同社の株価にとってのリスク要因です。