政府は物価高における新たな経済対策として、児童手当の拡充案を当初の予定より前倒しして支給していく考えを明らかにしました。

さらに、低所得のひとり親世帯に支給される「児童扶養手当」も、拡充する方向で検討を始めています。

似た名前である「児童手当」と「児童扶養手当」ですが、金額や対象者は異なります。

今回は、児童扶養手当と児童手当の違いについて解説します。

児童手当と児童扶養手当との違いとは

現行の児童手当と児童扶養手当における制度や支給要件、支給額の違いについて、それぞれ確認しましょう。

児童手当とは?対象者や金額

児童手当とは、子どもが生まれてから所定の年齢になるまで支給される手当です。

現行制度では中学生まで支給されて、子どもの年齢によって支給額が異なります。

子どもの人数に応じて支給されるため、3歳未満の子どもが2人いる場合の支給額は3万円です。

3歳以上小学生修了前の期間になると、第三子以降の給付額は1万5000円になります。

ただし、児童手当は所得制限があるので、一定の所得を超えると支給額が減額、または児童手当が受け取れなくなります。

  • 所得制限限度額:児童手当が5000円の特例給付となる上限所得
  • 所得上限限度額:児童手当が支給されない上限所得

それぞれの所得額の目安は、下表を参考にしてください。

以上から、児童手当は子どもが産まれたら手当として受け取れますが、一定の所得を超えている場合は支給されない制度です。

では、児童扶養手当の制度について確認しましょう。

児童扶養手当とは?対象者や金額

児童扶養手当は、ひとり親世帯をはじめ、父母と生計を同じくしていない子どもの支援を目的にしている制度です。

支給要件は、前年の所得に応じて「全部支給」と「一部支給」のどちらかに該当すると支払われます。

18歳未満の子どもを養育している人数に応じて支給されますが、児童手当と異なり子どもの人数ごとに支払われません。

支給額が加算されるだけなので、注意しましょう。

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出所:大阪府「児童扶養手当」を元に筆者作成

児童扶養手当の「全部支給」か「一部支給」のどちらに該当するかは、下表の所得要件を確認してください。

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出所:東京都福祉保健局「児童扶養手当」を元に筆者作成

以上から、児童扶養手当は低所得のひとり親世帯を支援するための制度です。

18歳未満の子どもに対して手当が支給されますが、支給額は前年の所得に応じて決定します。

では、児童手当の拡充案について確認しましょう。

児童手当の拡充案

新たな児童手当は、現行制度から以下の点が変更となります。

  • 所得制限の撤廃
  • 第三子以降の手当額の倍増
  • 支給期間が高校卒業まで延長

これまで児童手当には所得制限が設けられていましたが、新たな案では撤廃する見通しとなりました。

これにより、児童手当は養育者の所得に関係なく、支給される形に変わります。

さらに、多子世帯への手当額を増額するため、第三子以降には手当額を毎月3万円にすると発表しました。

多子世帯への支援を拡充させることで、子育て世帯の経済的な負担を軽減する狙いがあります。

また、中学生で終えていた児童手当の支給期間が延長される見通しです。

上記3点は2023年6月13日に「こども未来戦略方針」で発表されていました。

新たに2023年10月26日に岸田首相が発表した案では、以下の項目を追加して実施できるように調整を行うと発表しています。

  • 支給回数を年3回から6回に倍増
  • 初回の給付を2024年12月に前倒し

これまで児童手当は4ヵ月分を年3回に分けて支給されていましたが、新たに支給回数を6回に細かく分ける方向で調整をしています。

また、支給開始の予定にしていた2025年2月から、2024年12月に前倒しする方向で調整すると表明しました。

では、児童扶養手当はどのように拡充される見通しなのでしょうか。

児童扶養手当がどのように拡充されるのか確認します。

児童扶養手当の拡充案

現時点では、児童扶養手当の拡充案で詳しい内容は明らかにされていません。

ただし、年内に子ども政策の方向性や目標を盛り込む「こども大綱」を閣議決定する方針です。

詳しい内容は、そこで盛り込まれるので、引き続き注目して確認しましょう。

児童手当と児童扶養手当の違いは支給する世帯の要件

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miya227/shutterstock.com

児童手当と児童扶養手当の違いは、支給要件となる世帯の要件です。

児童手当は、子どもがいる世帯であれば、所得制限に抵触する世帯を除いて全世帯が支給要件に該当します。

一方、児童扶養手当は原則として、低所得のひとり親世帯に対して支給される制度です。

支給される世帯の要件が根本的に異なる点が違いといえるでしょう。

児童扶養手当が拡充される具体的な内容はまだ明らかになっていません。

今後の政府から発表される内容に、引き続き注目していきましょう。

参考資料