2. 厚生年金と国民年金から「税金が天引きされない」ことも
厚生年金や国民年金から天引きされるお金について見ていきました。
このうち、税金(所得税と住民税)が天引きされない人もいます。詳細の条件について、確認してみましょう。
2.1 所得税および復興特別所得税が天引きされない人
受給する年金が一定額に満たず、所得税および復興特別所得税が課税されない方は、年金から天引きされません。
課税の目安は65歳未満で108万円、65歳以上で158万円以上。ただし控除項目が多い方は、その分課税のラインが高くなります。
なお、遺族年金や障害年金は非課税となるため、そもそも所得税等はかかりません。
2.2 個人住民税が天引きされない人
所得税および復興特別所得税と同様に、そもそも個人住民税が非課税の世帯からは天引きされません。非課税になる所得目安は自治体によって異なります。
また、下記に該当する場合は年金から天引きされません。
- 老齢基礎年金等の年額が18万円未満
- 介護保険料が公的年金から天引きされない
- 天引きする税額が老齢基礎年金等の年額を超える
天引きされないとはいえ、非課税でない限り支払いがなくなるわけではありません。普通徴収となり、口座振替や納付書等の方法で納めることとなります。
また、天引きされるのは公的年金の雑所得にかかる税額のみ。その他の所得に対する税額は天引きされません。くわしくはお住まいの自治体窓口にご確認ください。
3. 保険料が天引きされない人
一定以下の所得であれば、税金は非課税となります。
しかし保険料(介護保険料、健康保険料)に関しては、どれだけ所得が低くても支払い義務が無くなることはありません。
例えば東京都の後期高齢者医療制度の場合、年金年額が12万円しかない場合でも、保険料は年間で1万3900円となります。
ただし年額が18万円に満たないため天引きとはならず、普通徴収で納めることになるでしょう。
この場合、納付方法が異なるだけで、納める必要性は変わりません。
4. 2023年度の平均年金受給額はいくら?
では、天引き前の年金額面はいくらでしょうか。参考までに、2023年度の年金額を確認しましょう。
4.1 国民年金
2階建て構造をしている公的年金制度において、1階部分の国民年金から支給されるのが「老齢基礎年金」です。
その満額は年度ごとに改定され、2023年度は67歳以下の方で月額6万6250円、68歳以上の方で月額6万6050円でした。
4.2 厚生年金
制度の2階部分に位置するのが、厚生年金です。厚生年金は現役時代の収入や加入期間によって受給額が決まるので、個人や男女間での金額差は国民年金よりも大きくなります。
ちなみに、厚生労働省はモデルケースとして「夫婦2人分の標準的な年金額は月額22万4482円」の受給金額を公表しています。
これは、夫婦2人分の老齢基礎年金に加え、夫の老齢厚生年金(平均標準報酬43万9000円にて40年間就業した場合)を含む金額です。
個人の加入状況については、郵送される「ねんきん定期便」や電子版「ねんきんネット」にて確認するようにしましょう。