2023年6月に内閣府が公表した「令和5年版 男女共同参画白書」によると、令和4(2022)年時点の共働き世帯は、専業主婦世帯の3倍近くをマーク。近年、日本国内では共働き世帯が増えてきているとわかります。
共働き世帯が一般化し、家計の在り方も変容しつつある現代。専業主婦世帯と共働き世帯では貯蓄額にどの程度の差がつくのでしょうか。
今回は、専業主婦世帯と共働き世帯の平均的な貯蓄額を確認していきます。
年々、増加傾向にある「共働き世帯」
人生100年時代を迎え、家族や世帯の姿は変化しつづけています。その変化が顕著に現れているのが「働き方」だといえるでしょう。
内閣府「令和5年版 男女共同参画白書」にて、専業主婦世帯と共働き世帯の世帯数は、以下の通り推移していると発表されました。
1990年代を境に、妻が64歳以下の世帯において専業主婦世帯と共働き世帯の数は逆転しているとわかります。
最新である令和4年には、専業主婦世帯は約430万世帯、共働き世帯は約1191万世帯という集計結果に。
約3倍近くの世帯数の差が見て取れます。
この背景として、女性活躍の機会増や男女共同参画に関する法整備のほかコロナ禍におけるテレワーク推進なども男性の家事・育児への参画拡大を促進したと考えられます。
もちろん、家計収支への影響も見逃せません。コロナ禍前の日常を取り戻しつつありますが、原料不足や物価高騰などが人々の生活に与える余波があるのは否めません。
次に、最新の統計から、65歳以上夫婦のみの無職世帯の家計収支を確認していきます。
【家計収支】専業主婦世帯と共働き世帯を含む「65歳以上夫婦の無職世帯」は赤字?
総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、2022年時点の65歳以上夫婦のみ無職世帯の収支は、以下のとおりです。
「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の収支
〈収入〉
- 実収入:24万6237円
- 可処分所得:21万4426円
〈支出〉
- 非消費支出(所得税や社会保険料など):3万1812円
- 消費支出:23万6696円
〈合計結果〉
- 不足分:2万2271円
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の実収入は24万6237円、可処分所得は21万4426円でした。支出を加味すると、平均2万2270円分の不足が出てしまう現状が浮き彫りになります。
統計から公的年金などの収入のみで生活を送るのは難しい世帯が多いと見受けられました。つまり、老後を迎えるまでにどの程度貯蓄できるかが、安心・安定した老後を送るポイントになると言えそうです。
それでは、老後生活のポイントとなる貯蓄額について比較していきましょう。
【貯蓄額】専業主婦世帯と共働き世帯で比較すると、どの程度の差がある?
金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」をもとに、それぞれ貯蓄額平均と中央値、割合をチェックしてみました。
〈専業主婦世帯〉平均貯蓄額:1158万円、中央値:300万円
- なし:25.2%
- 100万円未満:9.3%
- 100万円以上200万円未満:7.4%
- 200万円以上300万円未満:4.6%
- 300万円以上400万円未満:4.3%
- 400万円以上500万円未満:3.1%
- 500万円以上700万円未満:7.3%
- 700万円以上1000万円未満:5.7%
- 1000万円以上1500万円未満:7.9%
- 1500万円以上2000万円未満:5.4%
- 2000万円以上3000万円未満:6.2%
- 3000万円以上:10.2%
〈共働き世帯〉平均貯蓄額:1052万円、中央値:350万円
- なし:21.9%
- 100万円未満:9.4%
- 100万円以上200万円未満:7.2%
- 200万円以上300万円未満:5.4%
- 300万円以上400万円未満:5.5%
- 400万円以上500万円未満:4.5%
- 500万円以上700万円未満:7.3%
- 700万円以上1000万円未満:6.8%
- 1000万円以上1500万円未満:8.7%
- 1500万円以上2000万円未満:4.8%
- 2000万円以上3000万円未満:6.2%
- 3000万円以上:9.0%
平均では専業主婦世帯の平均貯蓄額は1158万円、共働き世帯の平均貯蓄額は1052万円で、専業主婦世帯の方が約100万円ほど多く貯蓄していることがわかります。
しかし、上層に引っ張られる平均とは異なり、実質的な中心の値を捉える「中央値」では共働き世帯の方が数値が大きくなる結果となりました。また、貯蓄なしの世帯割合も専業主婦世帯の方が大きいと見受けられます。
大きな違いは見て取れませんが、小さな収入差が重なっていくと考えられます。また、将来の厚生年金の受給額にも少なからず差が出てくるはずです。
いざ老後を迎えたタイミングでどのような形になるかを確認するとよいでしょう。
【専業主婦世帯VS共働き世帯】老後の世帯収入差はいくら?
ここでは、老後の大きな収入源のひとつである厚生年金の受給額の差を世帯タイプ別にチェックしていきます。
厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、男女別の国民年金および厚生年金(国民年金を含む)の平均月額は以下の通りです。
〈男性〉
- 国民年金:5万9013円
- 厚生年金(国民年金を含む):16万3380円
〈女性〉
- 国民年金:5万4346円
- 厚生年金(国民年金を含む):10万4686円
この数値から、世帯タイプ別に年金受給額をシミュレーションすると以下の結果が出ます。
- 夫婦ともに国民年金(自営業世帯):11万3359円(年額136万308円)
- 夫のみ厚生年金(会社員・公務員の専業主婦世帯):21万7726円(年額261万2712円)
- 夫婦ともに厚生年金(会社員・公務員の共働き世帯):26万8066円(年額321万6792円)
夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫の年金のみ厚生年金分が上乗せされます。共働き世帯では夫婦2人分の厚生年金が受け取れるため、より年金額が多くなる形です。
専業主婦世帯と共働き世帯の年金額の差を比べると、月額で約5万円、年額で約60万円となります。老後まで考えると、大きな差につながるといえるでしょう。
より詳細な金額はねんきん定期便やねんきんネットなどで確認してみてください。
夫婦でよく話し合い、柔軟な対応を大切に
約7割の家庭が共働きな現代。老後の家計収支などを踏まえると、比較的多くの貯蓄をつくっている「共働き世帯」は経済的にも魅力に思えます。しかし、家事や育児への注力やスムーズな分担など、専業主婦世帯にもお金には代えられないメリットがあります。
また、急激な経済変動や病気などを理由に専業主婦の方が就労の必要に迫られる可能性もあります。もしくは、共働き夫婦のどちらかが病気で働けなくなる場合もあるでしょう。
どんな場面でも困らないように夫婦間で話し合いを重ね、柔軟に対応できるように準備していきたいものです。
参考資料
- 内閣府「令和5年版 男女共同参画白書」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
荒井 麻友子