2023年9月27日に国税庁が公表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者ひとりあたりの平均給与は前年比2.7%増の「458万円」でした。

長らく横ばいだったなかでの2年連続の平均給与上昇。やっと、長く暗いトンネルを抜け出せるのか…と期待したいところですが、近年の物価上昇により多くの家計が逼迫している状況に大きな変化は見られません。

2023年度は賃金や物価上昇を背景に公的年金も最大2.2%のプラス改定となりました。しかし、こちらも物価上昇率を上回るものではなく実質的には「増えた」と言えない状況です。

現役世代・シニア世代ともに厳しい状況が続きますが、大きな収入アップが期待できない年金暮らしは特に不安が大きいことでしょう。

今回は、老後収入の柱となる公的年金の受給額事情を確認していきます。現役時代のいま、老後に向けてどのような準備をすべきかを考えるための参考にしてください

1. 日本の公的年金制度「国民年金・厚生年金」仕組みと特徴

最初に、簡単に日本の公的年金制度の仕組みと特徴を確認しておきます。

日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」で構成される2階建て構造です。下の図を見ていただくとイメージしやすいでしょう。

被保険者は就労の有無や働き方などによって第1号~第3号に分類されます。

それぞれの特徴は次のとおりです。

1.1 国民年金:1階部分

「国民年金」は、原則、日本に住む20歳~60歳未満のすべての人が加入対象となります。

保険料は全員一律で年度ごとに見直しが行われます。

自営業者など第1号被保険者は、40年間すべての保険料を支払えば、老後に満額の国民年金を受給することが可能です。未納があれば満額から減額されます。

厚生年金に加入する第2号被保険者と、第2号被保険者に扶養される配偶者の第3号被保険者の国民年金保険料は、厚生年金制度により負担するため個人で納付する必要はありません。

1.2 厚生年金:2階部分

「厚生年金」は、主に会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入する年金です。

厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与などの報酬よって決定するため個人で異なります。

老後に受け取る年金額は、現役時代の年収と年金加入期間によって決定し、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして支給されます。