小学校の教科の中でも苦手意識が出やすい算数は、低学年からつまづきやすい単元があります。小学1年生の繰り上がりのたし算と繰り下がりの引き算から始まり、2年生は九九の暗記が必須です。

親は心配になり「小学校低学年から算数の難所を乗り越えるために」と計算ドリルを購入して対策をするのが一般的ですが、学年が上がると計算力だけでなく文章を正しく理解する読解力も必要になってきます。

とはいえ、読書や本に親しんでいる子は語彙力があり、どちらかと言えば「国語が得意」と言うイメージがあります。しかし、算数の理解力の差にも影響を及ぼしていることが文部科学省が公表した「令和4年度全国学力・学習状況調査の結果」(※)からも明らかになりました。

※令和4年度全国学力・学習状況調査は、国語、算数・数学、理科の3教科で、小学校第6学年及び中学校第3学年の全児童生徒を対象とした悉皆方式により調査を実施

家の蔵書数と関連するのは「算数」「数学」の正答率という意外性

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学力と読書習慣、または家の蔵書数と学力の関係性は指摘されることがありますが、「令和4年度全国学力・学習状況調査の結果」でもその傾向が出ていました。

テストを受けた全国の小学6年生と中学3年生の家の蔵書数別、そして児童生徒へのアンケートで「授業で自分の考えを発表する機会では、自分の考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫して発表していたかどうか」という質問に対して、「工夫して発表している」と「工夫して発表していない」と答えた児童生徒の正答率を比べると最も正答率が低いのは「蔵書数が少なく授業で工夫して発表していない」児童生徒でした。

「蔵書数0冊から25冊」で、かつ「工夫して発表していない」子の場合、小学6年生の国語の正答率は50.5%、算数では48.0%そして理科が48.6%です。中学3年生では国語が55.3%、数学が34.5%そして理科が37.1%という結果になりました。

一方、「蔵書数101冊以上」で「工夫して発表している」と答えた小学6年生の国語の正答率は76.9%、算数は74.4%で理科が73.3%と非常に高く、中学3年生の国語は78.0%、そして数学65.0%、理科59.6%と最も高くなりました。

「蔵書数」と「授業への態度」で一番大きな差が生じているのは小学6年生では算数、中学でも数学という意外な結果になったのです。