3. 住友商事と双日のリスク要因

双日株式会社「2023年3月期有価証券報告書」や住友商事株式会社「事業等のリスク」にはさまざまなリスク要因がまとめられています。そのなかで株価への影響が大きいリスク要因としては、次のようなものがあります。

  • 市況変動のリスク
  • 投資や取引におけるリスク
  • 気候変動リスク

総合商社は、グローバルに資源開発や貿易をおこなって利益を獲得するビジネスです。そのため、市況動向が両社の業績や見通しに大きな影響を及ぼします。

2023年は9月時点で見ると、為替や資源価格の動向が両社の株価の上昇圧力となっていますが、もし市況が反転すれば、今度は株価の下落要因となるリスクがあります。

また、総合商社は莫大な金額で事業投資を行っています。もし、各社の戦略や意図に反して投資や取引が失敗した場合には、巨額の損失をもたらし、株価急落を引き起こす可能性があります。

たとえば、2014年には住友商事は米国のエネルギー開発プロジェクトで約2000億円の巨額な減損を引き起こしています。

事業投資の規模が大きい分、一つの取引の失敗が株価や業績に大きなダメージをもたらす可能性は考えられます。

さまざまな資源の取引を扱う総合商社は、特に二酸化炭素排出をもたらすビジネスが複数あります。

規制強化による事業の制限や規制対応のためのコスト増大が業績悪化につながるリスクも、相対的に大きいといえるでしょう。

4. 【配当金】両社ともコロナ禍後は増配傾向

住友商事・双日とも、コロナ禍では配当額が減少しましたがその後は増加傾向です。

まず住友商事は年間で2022年度は115円、2023年度は120円予想となっています。

双日は2023年3月期130円、2024年3月期130円予定となっています。

なお、両社とも株主優待は実施しておらず、配当や自社株買いなどによる株主還元を優先する方針です。

参考資料

宮野 茉莉子