厳しいサラリーマンのお小遣い事情
他人の懐具合を探るのはあまり品が良いことではないかもしれませんが、いったい、みんなはどれぐらいお小遣いをもらっているのか、また、これからお小遣いは増えるのかどうかは誰もが気になるところです。
そこで、今回は、新生銀行(8303)が1997年から行っている「サラリーマンお小遣い調査」(20代~50代)をもとに、サラリーマンのお小遣いの今後について考えてみたいと思います。
まず、2017年4月に実施され6月に発表された直近のデータを見てみましょう。
これによると2017年の男性会社員の平均お小遣い額は37,428円でした。前年比では▲445円減、また、1979年の調査開始以来、過去2番目に低い水準(最低額は1982年の34,100円)でした。
一方、女性会社員の平均は33,951円となり、前年比では+449円の増加となっています。ただし、2014年と比べると▲2,761円の減少となっており、女性のお小遣い事情が特段に改善しているというわけではありませんでした。
減る一方のサラリーマンのお小遣い
次に、過去のトレンドがどうだったかを男性会社員のお小遣いのデータを元に確認してみましょう。
下図のように、日経平均株価が1989年末に最高値38,915円を付けた翌年の1990年には77,725円(前年比24,725円増、+47%増)と驚異的な伸びになっています。これは2017年に比べると約2倍の水準です。
その後は上げ下げを繰り返しながら2004年には4万円割れとなり、バブル崩壊後の最低水準を記録しています。
さらにその後は、2007年には5万円近くまで回復が見られたものの、リーマンショック(2008年9月)から3年後の2011年には再び4万円割れとなり、その状態が2017年まで続いています。
ちなみに、お小遣いに影響を与える要素としては、「収入(賃金)」や「物価(インフレかデフレか)」は当然としても、「センチメント(日経平均≒景気)」も影響すると考えられます。
これから景気が良くなり給料も増えるという気分が広まれば、少しはお小遣いをアップしようと考える人が増えるためです。このため、バブル崩壊後のお小遣いの長期にわたる低迷は、これらの要素のどれか、あるいは全てが悪化していたためであると推察されます。
2018年はどうなる
では、来年、2018年のお小遣いはどのようになるでしょうか。
賃金が上昇していくのか、あるいはデフレから脱却できるのかは意見が分かれるところです。ただし、「センチメント」については、最近の日経平均の上昇などから改善が期待できるかもしれません。
相場関係者のなかには、「日経平均は3万円を目指す」という強気派もちらほら見られるようになってきました。その予測が現実になるかはともかく、お小遣いの上昇要因の一つである「センチメント」は、今後さらに改善していく可能性が高まっているといえそうです。
とはいえ、2013年以降のトレンドを見ると、アベノミクス相場により日経平均は上昇しても、お小遣いのほうは停滞傾向が続いていたことには注意が必要です。よって、日経平均が上がっても小遣いは増えないという同じことが今後も繰り返される可能性も完全には否定できません。
また、バブル期でもお小遣いのピークは日経平均がピークを付けた翌年であったこと、つまり、お小遣いの動きは日経平均に対してタイムラグがある(遅行性がある)ということも留意したいところです。
日経平均が上がり続けるのであれば、いずれはお小遣いも上がる、ということになるとともに、仮に来年お小遣いが大幅に上がった場合は、実はバブルが崩壊していたことが示唆されているかもしれない、ということになるからです。
一時的であればまだしも、再びかつてのような長期低迷が続くというのであれば、あまりありがたくない話となってしまいます。いずれにせよ、今後も「サラリーマンお小遣い調査」の動向を注視していきたいと思います。
LIMO編集部