2023年10月17日、東海旅客鉄道株式会社(東証プライム、9022、以下「JR東海」という)、西日本旅客鉄道株式会社(東証プライム、9021、以下「JR西日本」という)、九州旅客鉄道株式会社(東証プライム、9142、以下「JR九州」という)の3社は、新幹線車内の喫煙ルームの廃止を発表した。
健康増進法が改正され、望まない受動喫煙防止が規定されてから5年経過した。
ようやく日本国内すべての新幹線車内で、全面禁煙となる。
健康増進法の受動喫煙防止
2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、2020年4月1日より全面施行され、「望まない受動喫煙を防止するための取り組み」はマナーからルールへと変化した。
健康増進法第26条では、以下のように規定されている(一部省略)。
「・・・多数の者が利用する・・・旅客運送事業自・・・等の管理権原者・・・は、望まない受動喫煙が生じないよう、受動喫煙を防止するための措置の総合的かつ効果的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない」
JR各社などの旅客運送事業者には、屋内全面禁煙がルール化されたが、喫煙専用室を設けた場合にはその中では喫煙可能とされている。
上記ルールは2023年10月現在でも変化はない。
そのため、JR東海・JR西日本・JR九州の3社は、各社が運行する新幹線内に喫煙ルームを設けることで対策を行っていた。
喫煙ルームの問題点
喫煙ルームは密閉され、換気機能も完備されている。
しかしながら、どのような対策をしようとも、開閉時にはルーム外に煙およびニオイが出てしまう。デッキ内のみならず、車両にも流れ込んでしまう。
JR新幹線内の喫煙ルームの場合、車両間に設置され、自動ドア(手動式)となっているが、喫煙ルームは狭く常時3~4名ほどしか中に入ることができない。
そのため、喫煙ルームの外で「空き」を待つ人が並ぶ事態となっており、開閉も頻繁に行われていた。
大型連休や年末年始などは、数分おきに開閉がされるため、もはや密閉と呼べるのか疑問であった。
JR新幹線すべてで社内全面禁煙へ
東日本旅客鉄道株式会社(東証プライム、9020、以下「JR東日本」という)では、2006年6月から、新幹線を含む全車両で車内全面禁煙を実施済みである。
今回の3社発表は、JR東日本から大幅に遅れての対応となる。
また、JR東海・JR西日本・JR九州ともに、実施時期を2024年春としており、まだ明確な時期は決まっていない。
駅ホームの喫煙ルーム
さて、今回のリリースにより、日本国内のJR新幹線全車両で車内の禁煙化が実施されることとなった。
しかしながら、JR東海・JR西日本、具体的には東海道・山陽新幹線の駅ホームには依然として喫煙ルームは残ることとなる。
一方で、JR九州ではこれまでも駅ホームを全面禁煙としており、JR各社で取り組みに差が出ることとなる。
今後、東海道・山陽新幹線の駅ホームについても何らかの対策を行うのか注視したい。
リリースを発表したJR各社の株価
最後に、リリースを発表したJR3社の、リリース発表の翌営業日の株価について見ていく。
JR東海
2023年10月18日の終値は前日比99円高の3354円となった。
年初来高値は、2023年9月14日の3926円である。
なお、JR東海は2023年9月28日に1株を5株に分割する株式分割を行っている。
JR西日本
2023年10月18日の終値は前日比99円高の3354円となった。
年初来高値は、2023年9月14日の3926円である。
JR九州
2023年10月18日の終値は前日比49.5円高の3042円となった。
年初来高値は、2023年9月26日の3294円である。
参考資料
- 東海旅客鉄道株式会社 「東海道新幹線 車内喫煙ルームの廃止について」
- 西日本旅客鉄道株式会社 「~山陽新幹線における受動喫煙防止の取り組みについて~新幹線車内の喫煙ルーム及び駅の喫煙コーナーを廃止します」
- 九州旅客鉄道株式会社 「~九州新幹線における受動喫煙防止の取り組みについて~九州新幹線の車内喫煙ルームを廃止します」
- 東日本旅客鉄道株式会社 「列車内の全面禁煙化について」
- 厚生労働省 「受動喫煙対策」
- 厚生労働省 健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号) 概要
石川 貴康