少子高齢化が進む日本。働き手の確保、高年齢者が活躍できる環境整備を目的として「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、2021年4月1日から施行されています。

主な改正内容としては、70歳までの就業機会の拡大が努力義務となっています。

現行制度における老齢年金の受給開始年齢は原則65歳です。年金を受け取ることができる年齢になっても働くこと選択できるような環境が整いつつあるようですね。

なお、老齢年金を早く受け取りたい場合には「繰上げ受給」により60歳~64歳の範囲内で1カ月単位で受給開始を早めることができます。

しかし、早く受けとりたいからと安易に繰上げ受給することはおすすめできません。今回は、その理由と年金の仕組み、国民年金・厚生年金の平均年金月額について確認していきます。

1. 日本の公的年金制度「厚生年金・国民年金」の仕組みをおさらい

日本の公的年金制度は「国民年金(老齢基礎年金)」と「厚生年金(老齢厚生年金)」により構成されています。

厚生年金は国民年金に上乗せする形で加入する仕組みとなり、下の図のように2階建ての構造になっています。

国民年金と厚生年金のそれぞれの違いを見ていきましょう。

1.1 国民年金(老齢基礎年金)

国民年金は、日本に住む20歳から60歳未満の全ての人が原則として加入する年金です。

20歳になると学生であっても自動的に国民年金の加入資格を得ます。

国民年金保険料は全員一律となりますが年度ごとに見直しが行われます。ちなみに2023年度は月額1万6520円です。

この保険料を40年間(480ヶ月)全て支払えば老後に満額が支給され、未納がある場合には満額から差し引かれます。

なお、第2号被保険者と第3号被保険者は国民年金保険料を自身で納める必要はありません。第2号被保険者の厚生年金制度により夫婦2人分の国民年金保険料を負担するためです。

1.2 厚生年金(老齢厚生年金)

厚生年金は、主に会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入します。

厚生年金の保険料は、年金加入期間中の給与や賞与などの報酬により決定され、事業所と折半して納めます。

老後に受給する年金額は保険料と年金加入期間により算出。国民年金(老齢基礎年金)と合わせて受給します。