日経平均は利益確定売りも出て上値が重い展開

2023年10月13日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比178円67銭安の3万2315円99銭となりました。前日に発表された9月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を上回ったことから、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの見方が広がり、株式が売られました。

ダウ工業株30種平均、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数がともに下落したことを受けて、日本株も上値が重い展開となりました。前日までの3日間で1500円近く上昇していたことから利益確定売りが出やすい局面でした。ただし、下げ幅は限定的でした。

今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。13日の米株式市場でダウ平均は前日比39ドル15セント高の3万3670ドル29セントで終えています。反発ですが上げ幅は小幅でした。

イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が激しくなると見られており、中東情勢の緊張がさらに高まりそうです。投資家としても積極的に買いに回ることは避ける傾向となっています。

Tongpool Piasupun/shutterstock.com

地政学的リスクが高まったことで一時、FRBの金融引き締めがいったん緩むのではないかという楽観的な観測もありましたが、現状はいったん、それも否定された形です。むしろ、ロシアのウクライナ侵攻に加えて、世界経済の足かせになる新たな懸念が広がっているところです。米長期金利の上昇、世界的なインフレ、地政学リスクの高まりにともなう原油高と、不安材料が多くなっています。さらに足元では円安・ドル高傾向になっていることから、資源輸入国である日本企業の業績にも影響を与えることも考えられます。

19日にはパウエルFRB議長の講演が行われます。10月31日~11月1日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が行われますが、その前にパウエル氏がどのように語るか注目されるところです。先行きが見えない中で難しい相場が続きそうです。柔軟に対応できるように備えたいところです。

大きく上昇し一時、25日線、75日線を回復

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週はローソク足の実体が25日移動平均線、75日移動平均線をともに割り込んだものの、200日移動平均線付近で反発していました。先週はここから上昇が続くのか注目されていました。

実際には連休明けの10日火曜日から大きな陽線となって上昇すると、その後も窓をあけて上昇。12日木曜日にはローソク足の実体が25日線、75日線を回復しました。週末13日には窓をあけて若干下落し、75日線は割ったものの25日線は維持しています。

今後の展開はどうなるでしょうか。チャートの形は悪くありません。大きなポイントとしては先週の上昇で直近の押し安値である8月18日の安値(3万1275円)を上回ったことです。10月上旬に大きく下落しましたが、むしろチャネル内での「往って来い」のような形で、現状はチャネルの上限付近まで戻りました。

今後はさらにこのチャネルの上限を突破することが期待されます。そのための条件としては、まずは直近の戻り高値である9月15日の高値(3万3634円)を超えたいところ。そうなると、現状の下降トレンドが終わることになります。逆にこのあたりを超えられないと、再びチャネル内での上下を繰り返すことも考えられます。

今週まずは25日線、75日線を回復し、心理的節目である3万3000円を超えられるかどうかが注目されます。

corlaffra/shutterstock.com

参考資料

下原 一晃