生活必需品の値上げや物価上昇、光熱費の高騰など、日々の生活が苦しいと感じる世帯は少なくないでしょう。

年金暮らしのシニア世代は、公的年金だけでは不足する生活費を、現役時代にコツコツと積み上げた貯蓄を切り崩しながらやりくりすることになります。

公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、夫婦二人でゆとりある暮らしを送るために必要と考える金額は、月額約38万円です。

国民年金や厚生年金といった老齢年金による収入以外に、資産をどれくらい準備しておけば良いのでしょうか。

そもそも、老後に受給する年金額がどれくらいなのかを把握しなければ、貯蓄額の目標も定まりません。

そこで今回は、シニア層(70歳~89歳)の厚生年金と国民年金について、その受給額の平均を1歳刻みで確認していきたいと思います。

1. 老齢年金「国民年金と厚生年金」の仕組み

日本の公的年金は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建てになっています。

1階部分の国民年金のみに加入する人、国民年金に上乗せして2階部分の厚生年金にも加入する人がいます。

前者と後者では老後に受給する年金額が大きく異なりますので、それぞれの対象者や特徴を確認しておきましょう。

1.1 国民年金(老齢基礎年金)

国民年金は、日本に住む20歳から60歳未満の全ての人が原則として加入する年金です。

学生であっても20歳に到達すれば自動的に国民年金に加入となります。

国民年金の保険料は全員一律で年度ごとに見直しが行われます。自営業者や20歳以上の学生などの第1号被保険者は自身で保険料を納付しますが、第2号被保険者・第3号被保険者は個人で保険料を納める必要はありません。

第2号被保険者が加入する厚生年金制度にて負担します。

老後に受給する年金額は、保険料を20歳から60歳未満の40年間(480ヶ月)の納付期間により決定します。

全ての期間の保険料を納めれば満額を、未納があれば満額から減額される仕組みです。

1.2 厚生年金(老齢厚生年金)

厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入する年金です。

保険料は厚生年金加入期間中の報酬により決定し、会社側と折半して負担します。

そして、老後に受給する年金額のうち老齢厚生年金はこの保険料と年金加入期間により決定します。老齢厚生年金は、老齢基礎年金(国民年金)に上乗せして支給となるため、基本的に国民年金より年金額が多くなる仕組みです。