朝晩の空気が冷涼となり、そろそろオーブン料理が恋しい季節になってきました。夏には敬遠していた煮込み料理の材料を手にしている姿も、スーパーでよく見られます。

イタリアには、日本で売られているようなデザイン性の高いショッピングバッグはあまり見かけません。スーパーのロゴ入りの特大袋を持参する人が多い一方で、有料のレジ袋を買う人もいます。

実はこの有料レジ袋、再利用が可能なのです。イタリアにおけるレジ袋事情を解説します。

イタリアでは1989年から有料レジ袋が普及

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在住者としては不覚にも、イタリアの有料袋導入がこれほど早かったことを知りませんでした。NPO法人「ごみ・環境ビジョン21」によれば、イタリアでは1989年から有料レジ袋が生まれていたそうです。

現在のイタリアでは、スーパーのレジ袋はすべて有料です。1枚10~12セントほどのレジ袋は、かつてはプラスチック製でした。レジ袋の材質は2011年頃から変わり、現在は生分解性のタイプで占められています。

生分解性レジ袋とは、トウモロコシやジャガイモのデンプンを主原料に作られているため、いずれ分解されていく性質があります。環境への負荷が少ないレジ袋、というわけです。

ごみの分別は日本と同じようにイタリアでも厳しくなっています。生分解性レジ袋、実は生ごみを捨てるために使うことができるのです。生ごみの廃棄は、町によっては生分解性の袋を使用することが義務付けられています。

つまり、10~12セントという決して安くないレジ袋も、生ごみを捨てるにあたって再利用できるわけです。

イタリアのショッピングバックは大型?

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日本には「マイバッグ」と呼ばれるかわいいショッピングバッグが、あちこちで販売されています。小さく折りたためて便利なマイバッグ、イタリアではほとんど目にすることがありません。

イタリア人が買い物に持参する「マイバッグ」は、横幅が45✕35センチ、マチも20センチほどある大ぶりなタイプが主流です。価格は5ユーロ前後。小さく折りたたんでも、日本製のマイバッグのようなコンパクトさはありません。

お店のロゴ入りバッグがほとんどで、ごくたまにシーズン限定タイプが登場します。「これはぜひ買いたい!」と思わせてくれるデザインは、イータリーなどの高級スーパー以外は少ない、というのが実情です。

なぜイタリアのショッピングバッグは、ここまで大きい必要があるのでしょうか。理由は買い物の量が多いためです。

キロ単位のジャガイモ、500グラムのインゲンマメ、長さが20センチもあるパンなど、イタリア人の買い物は大量です。アーティチョークやカーボロネーロなど、食材そのものが大ぶりで小さな袋に入らないという事情もあります。

普段は生分解性のレジ袋を購入する人も、オリーブオイルや牛乳や米など、重いものを買う予定がある日は、丈夫なショッピングバッグを持って行くケースも。理由は植物性の生分解性レジ袋は脆弱で、重さに耐えきれないためです。

つまり、買い物によって、ショッピングバッグと有料レジ袋を使い分けているわけです。