「ビジネスケアラー」という言葉を知っていますか?

仕事をしながら家族などの介護をおこなう人をこう呼び、その数は近年増えています。

今回は2023年10月6日に公表された、ビジネスケアラーに関する意識調査の結果も交えながら、仕事と介護の両立について考えていきます。

意識調査から見る「ビジネスケアラーとその予備軍たち」の不安と悩み

2023年10月6日株式会社リクシスが、ビジネスケアラーたちの悩みや不安に関する調査結果を公表しました。

調査対象となったのは、家族の介護に関して興味・関心の高い「全国ビジネスケアラー会議」の参加者。その3分の2がすでに介護中、また、残り3分の1は今後介護が想定される「介護予備軍」です。

同調査によると、介護に関する不安や悩みがあると答えた人の割合は、介護中の人が91%、介護予備軍の人が89%。いずれも約9割の人が介護に関する何らかの悩みを抱えていることに。

介護に関する不安や悩みの内容についても見てみましょう。

仕事と介護の両立は「心理的負担」の重さが課題

既に介護中のビジネスケアラーが挙げた不安や悩みの上位5項目は以下の通りです。

  • 1位:介護にかかる心理的負担がつらい:(46%)
  • 2位:介護度が上がる等状況が変わった時にどうすればよいかわからない:(31%)
  • 3位:介護にかかる物理的負担がつらい:(29%)
  • 4位:介護にかかる金銭的負担がつらい:(28%)
  • 5位:家族間の役割分担や意思の擦り合わせが上手くいっていない:(26%)

すでに家族を介護中のビジネスケアラーたちは「心理的負担」を強く感じているようです。

2位以下の回答からは、要介護度が上がった場合への漠然とした不安や、物理的・金銭的な負担といった具体的なストレス、さらには家族間の意思疎通に悩む様子もうかがえます。

介護予備軍たちが抱える「介護に関する不安や悩み」

「介護予備軍」の人たちが挙げた、介護に対する不安についても見てみましょう。

  • 1位:いつから始まるか、いつ終わるかわからない(57%)
  • 2位:お金がかかりそうなのが不安(51%)
  • 3位:どのタイミングで何をすればよいかわからない(49%)
  • 4位:家族と離れて暮らしているため何かあったときにすぐに駆け付けられない(37%)
  • 5位:仕事と両立できる自信がない(34%)
  • 5位:何から手を付ければよいのかわからない(34%)

介護予備軍が挙げた心配ごとのトップは「いつから始まるか、いつ終わるかわからない」でした。

2位以下には、金銭面や遠距離介護への不安、さらには「仕事との両立」を懸念する声も挙がりました。

出産・育児と異なり、介護は「ある日突然」始まることも少なくありません。また、当然ながら先の見通しも立ちにくいです。

介護予備軍たちは漠然とした不安を抱えながら、「いつか来るかもしれない」その時への心構えをしているのかもしれません。