FXは外貨をトレードできる金融商品です。
外貨の購入・保有・売却を通じて各種利益をねらいます。
円安が進む昨今、FXに興味を持っている方も多いでしょう。
一方で、時折ネット上では「FXはやめとけ」という口コミが見られることから、運用に対して不安を感じている方もいるかもしれません。
そこで本記事ではFXのキホンを紹介しつつ、なぜ「FXはやめとけ」と言われるのかを解説していきます。
1. FXとは
まずはFXのキホンを確認していきましょう。
FXは外貨を購入・保有・売却することで利益を狙う金融商品です。
金融庁では以下のように定義されています。
外国為替証拠金取引は、証拠金を差し入れて、日本円と米ドルなど、2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品です。外国為替を英語で“Foreign Exchange”と表すことに由来して、外国為替証拠金取引は、通称、「FX」などと言われます。
出所:金融庁「外国為替証拠金取引について」
FXでは異なる2つの通貨をペアとして、以下のような取引ができます。
1.1 <円・米ドルペアの場合>
- (円を売って)ドルを買う
- (円を買って)ドルを売る
たとえば、1ドル=100円のタイミングで(100円で)1ドルを購入するとしましょう。
その後、為替レートが1ドル=120円に変動すれば20円の含み益が発生します(円に戻せば120円になる)。
このタイミングで反対売買(決済)を行って利益を確定すれば、FX口座の残高はプラス20円となります。
これが為替差益です。
また、FXは売りからスタートすることもできます(空売り)。
つまり、円安・円高両方の局面で利益が狙えるのです。
「なぜ保有していない外貨を売れるの?」
率直にそう疑問を感じた方もいるでしょう。
FXはトレードの結果として発生した損益のみを授受する差金決済を採用しています。
つまり、原則としてお金のやり取りが行われるのはトレードを終了した時のみです。
トレードの結果、確定した利益の受け取りと損失に対する支払いはFX口座の残高(円)で処理されます。
FXでは外貨を購入する時はもちろん、売りから入る時でも本物を用意する必要はありません。
簡単にまとめると、FXは今後、為替レートが円安になると予想したら外貨の購入を選択し、逆の場合は売却を選択します。
トレードの損益を確定したら、利益の場合はプラス分が、損失の場合はマイナス分がFX口座に反映されるしくみです。
1.2 スワップポイントとは
FXでは為替差益以外にも「スワップポイント」が狙えます。
スワップポイントは保有している通貨ペアと通貨量に応じて発生する損益のことです。
金利差調整分とも呼ばれ、ポジション保有期間中は毎日発生します(外貨を「買い」あるいは「売り」から入って反対売買によって決済するまでの間)。
<スワップポイントの発生パターン>
- 取引する通貨ペアのうち、購入する通貨の金利の方が高い場合→「利益」として発生
- 取引する通貨ペアのうち、売却する通貨の金利の方が高い場合→「損失(支払い分)」として発生
たとえば、トレイダーズ証券の「みんなのFX」では、スワップポイントが以下の通り発生します。
<スワップポイント例>
通貨ペア |
スワップポイント(10万通貨取引の場合・1日あたり) |
トルコリラ/円 |
280円 |
メキシコペソ/円 |
261円 |
南アフリカランド/円 |
171円 |
※「みんなのFX」公式サイトより(2023年9月4日時点)
2. FXが「やめとけ」と言われる3つの理由(デメリット)
FXのキホンを確認したところで本題に戻りましょう。
なぜ、一部で「FXはやめとけ」と言われるのでしょうか?
ここではその理由として考えられる「FXの3つのデメリット」を紹介していきます。
- レバレッジを効かせると借金を負うかもしれないから
- 借金を負った際に自己破産できないから
- マイナスサムゲームだから
2.1 レバレッジを効かせると借金を負うかもしれないから
FXはレバレッジを効かせることで自己資金の最大25倍までの金額を取引できます。
ちなみにレバレッジとは「てこの原理」を意味する言葉で、小さな資金で大きな金額の取引を可能にするしくみのことです。
レバレッジは少ない資金でも大きなリターンを得ることができる反面、損失のダメージも同じだけ大きくなります。
たとえば、1万円を元手に25万円分の取引をしたとしましょう(米ドル/円ペア)。
(1ドル=100円と仮定して)2500米ドル購入すれば、5円の円高が1万2500円の損失となります(逆に5円の円安なら1万2500円の利益になります)。
このケースでは損失が自己資金を超えているので、超過分の2500円は借金となります。
こうしたしくみへの懸念から「FXはやめとけ」と言われる理由はもっともです。
2.2 借金を負った際に自己破産できないから
また、FXの借金は免責不許可事由に該当します。そのため原則として自己破産は認められません。
浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。(破産法252条1項4号)
出所:e-Gov法令検索「平成十六年法律第七十五号破産法」
このようなリスクから「FXはやめとけ」と言われるのももっともなことです。
2.3 マイナスサムゲームだから
マイナスサムゲームであることもFXが「やめとけ」と言われる理由の1つです。
FXは株式投資のように成長の果実をみんなで分け合う「プラスサムゲーム」ではありません。
儲かった人の裏には、同じ金額分損をした人がいる「ゼロサムゲーム」なのです。
さらに、一般的なFX取引ではスプレッドがコストとして発生します。
このスプレッドや利益にかかる税金を加味すれば、参加者全体の利益の合計がマイナスとなります。
つまり、FXは「マイナスサムゲーム」なのです。
競馬や宝くじなども「マイナスサムゲーム」に該当します。
3. それでもFXがおすすめな3つの理由
ここまでFXが「やめとけ」と言われる理由を解説してきました。
では、FXは本当にギャンブルと同じでやめておくべきものなのでしょうか?
結論から言えば、FXを利用してローコストで外貨を持つことは円安から身を守る資産防衛につながります。
そのため、FXで資産を一定割合外貨に換えておくのは悪くない選択肢です。
本章ではFXがむしろおすすめである3つの理由を紹介します。
- 安全かつ低コストな外貨保有手段だから
- 円安の悪影響をヘッジできる
- レバレッジなしなら借金にならない
3.1 安全かつ低コストな外貨保有手段だから
FXはローコストかつ安全に外貨を運用できます。
同じく外貨を運用する手段である外貨預金と比較してみましょう。
<FXと外貨預金の違い>
FX |
外貨預金 |
|
取引コスト |
安い |
高い |
レバレッジ |
1~25倍 |
1倍 |
為替差益の狙い方 |
円高・円安の両方で利益を狙える |
円安の時のみ |
為替差益の税率 |
20.315% |
最大55.945% |
資産の保証 |
あり(信託保全) |
なし(ペイオフの対象外) |
まず、注目すべきはコストです。
FXは取引にかかるコストが外貨預金よりも安い傾向にあります。
具体的に外貨預金の為替手数料とFXのスプレッドを比較してみましょう。
三菱UFJ銀行 |
みんなのFX |
|
1万米ドルの取引コスト |
5000円 |
40円 |
1万英ポンドの取引コスト |
1万円 |
180円 |
※出所:三菱UFJ銀行「為替手数料」
※出所:みんなFX公式サイト
※いずれも1往復で計算
またFXには信託保全というしくみが採用されています。
これは顧客の資産をFX会社と別にして、信託銀行が管理するしくみです。
一方、外貨預金には信託保全がないほか、ペイオフも対象外となっています。
<ペイオフとは>
ペイオフという用語は、次の2つの意味で用いられることがあります。金融機関が破綻した場合の破綻処理方式の1つとして、保険金を預金保険機構が直接預金者に支払う方式を指すことがあります。また、金融機関が破綻した際に、預金等の一定額しか預金保険による保護の対象にならないこと(換言すれば、預金者に損失の負担が生じ得ること)を指すこともあります。
出所:日本銀行「ペイオフとは何ですか?」
安全性・コストを重視しながら外貨を保有するならFXがおすすめです。
3.2 円安の悪影響をヘッジできる
FXには円安の悪影響をヘッジ(避ける)する効果が期待できます。
円安は日本円の価値が外貨に対して低下することです。
たとえば、1ドル=100円の為替レートが150円になれば円安です。
言い換えると、1ドルを得るのに100円しか必要なかったのに、これからはそれ以上のお金が必要になることが円安です。
円安はさまざまな影響をもたらします。
外国通貨の入手により多くの円が必要となるため海外旅行はしづらくなりますし、エネルギーなどの輸入コスト上昇によってスーパーの商品が値上げされることもあるでしょう。
こうした円安による家計への悪影響を少しでもヘッジするなら、FXは有効な手段です。
現金を一定割合米ドルなどの外貨に換えておけば、円安時には為替差益が得られます。
3.3 レバレッジなしなら借金にならない
FXはレバレッジをかけなければ借金を負うことはありません。
レバレッジ1倍(なし)なら本質的な部分は外貨預金と何も変わらないのです。
4. FXを始めるなら「みんなのFX」がおすすめ
ここまででFXの運用に興味を持った方もいるでしょう。
FXを始めるには証券会社でFX口座を開設する必要があります。
FXをこれから始める方には「みんなのFX」がおすすめです。
「みんなのFX」は「MINKABU(みんかぶ)」の2023年版FX証券年間ランキングで人気1位となったFXサービスであり、業界最狭水準のスプレッドのほか、高スワップも両立していることが特徴となっています。
※スプレッドとはFXにおける実質的なコストのこと
最低取引単位は初心者にも安心な1000通貨から。サポート体制も整っており、電話は毎日7:00~22:00(土日を除く)、メールは365日24時間体制で問い合わせに対応しています。
なお、みんなのFXはトレイダーズ証券が運営しています。
同社は東証に上場するトレイダーズホールディングスの子会社なので、安心して取引を始められるでしょう。
参考資料
MeChoice編集部
・レバレッジを効かせると借金を負うかもしれないから
・借金を負った際に自己破産できないから
・マイナスサムゲームだから
・FXはむしろ外貨保有手段としておすすめな金融商品