なぜ「終活」市場に注目すべきなのか

経済産業省が発表する「平成27年特定サービス実態調査」のデータによれば、2015年の葬儀業務の市場規模は年間1兆3,739億円となっています。

事業者の数は8,550ありますが、資本金を見ると、葬儀業界はほとんどが資本規模の小さな企業が構成する産業ということがわかります。実際、資本金が5,000万円以上の企業は1,296事業者で全体の15%に過ぎません。

公益社などを運営する燦ホールディングス(9628)は、上場している葬儀会社の中で最大規模ですが、その同社でさえ営業収益(売上高)は2017年3月期で187億円。年度が多少ずれますが、経産省の市場規模データを分母とした燦ホールディングスのシェアはわずか1.4%です。

このように、葬儀業界は業界再編が進んでいないため、今後の戦略次第では大きな「勝ち組」企業が生まれるチャンスがある業界といえるでしょう。

一方、年間の死亡数は1995年の約92万人から2015年には約129万人へと増加しています(出所:厚生労働省)。また、国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、2040年までに年間死亡数は約167万人に拡大する見通しで、2015年比で+29%増加することになります。

ここからは、葬儀業界は今後事業者を必要とする状況にあることが見て取れます。

注目すべき「終活」市場のポイントとは

ここまで葬儀市場の需要と供給を見てきました。もう一つ念頭に入れておくべきことは、葬儀のスタイルが変わってきているという点です。

経済産業省のデータによる1件当たりの葬儀費用を見ると、2000年から2006年にかけて上昇し、それ以降は2012年まで下落。以降は反発したものの、2006年のピーク時に戻るような勢いはありません。大規模な葬儀から、より(単価の低い)小規模な葬儀へシフトしていると考えられます。

葬儀会社としては、低単価の葬儀の品揃えと収益性を維持できるかという点が重要となるでしょう。また、利用者が葬儀社を探す場合の接点として、インターネット対応が注目ポイントです。

終活の関連銘柄

燦ホールディングス(9628):公益社を中心とした葬儀会社
ティア(2485):愛知県を本拠地にFCモデルを活用する葬儀会社
平安レイサービス(2344):神奈川県を本拠地に展開する葬儀会社
鎌倉新書(6184):ネットで葬儀、墓石などのマッチングサービスを展開するネット企業
サン・ライフ(4656):神奈川県を本拠地に展開する葬儀会社
ビューティ花壇(3041):熊本県を本拠地に生花祭壇の企画もする生花の卸
はせがわ(8230):「お仏壇のはせがわ」のCMで有名な仏壇・仏具小売店

本稿は「個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)」記事のダイジェスト版です。全文は以下からどうぞ(有料記事)。
>>「終活」市場はいまだ大型の業界再編なき産業。勝ち組はどこか【Longine投資テーマ50】

 

LIMO編集部