4. 労働力不足でも正社員の給料は上がらないかも
給料が上がってインフレになるのであれば、支払い金利が増えても大丈夫だ、と考えているサラリーマンが多いかも知れませんが、それは甘いかも知れません。
パートやアルバイトといった非正規雇用の人たちのの時給が大幅に値上がりする一方で、サラリーマンの給料はそれほど上がらないかも知れないからです。
非正規労働者は、時給を上げないと人が集まらないのみならず、今いる人も他社から引き抜かれてしまうかも知れません。
したがって、会社としては非正規雇用の人たちの時給を引き上げざるを得なくなるでしょう。
一方で、サラリーマンは賃上げをしなくても辞めないだろうと考える企業は多く、サラリーマンの時給はそれほど引き上げないだろうとも筆者は考えます。
非正規雇用の人たちの時給が上がりやすくなるというのは、日本経済にとっては良いことなのかもしれません。
とはいえ住宅ローンを借りるのはサラリーマンが多いことを考えたとき、これは、変動金利タイプの借り手にとっては辛いですね。
5. 「固定金利が高い分は”保険料”」と考えることもできる
固定金利の方が高いので、将来も短期金利が低いままであったら差額分だけ損をした気分になりますね。それを避けるために変動金利で借りよう、と考えている人もいるようです。
そんな人は「固定金利の差額は”保険料”だ」と考えてみるのはいかがでしょうか。
変動金利で借りる契約に「金利上昇にそなえる保険的な要素(ここでは「金利上昇保険」と呼びましょう)」を加えたものが固定金利契約だ、と考えるのです。
火災保険は、家が火事になった時に保険金を受け取ります。
それと同様に「金利上昇保険」は金利が上がった時に保険金が受け取れると考えるのです。
金利が上がった時には「高い短期金利を支払う必要があるが、保険金がもらえるので、差し引きすれば固定金利の金額だけ払えば良い」と考えるわけですね。
「火事に遭わなければ保険料が損になるから、火災保険には入らない」という人は少ないでしょう。
それと同様に「金利が上がらなかったらもったいないから金利上昇保険に加入しない(=変動金利で借りる)」という人も少ないはずだ、というのが筆者の持論なのですが。
参考資料
塚崎 公義