3. 繰下げ受給「利用するんじゃなかった…」夫婦が後悔するケースとは?
年下の配偶者や18歳未満のお子さまがいる世帯は「加給年金」を考慮した上で、繰下げ受給の利用を判断しましょう。
加給年金とは、厚生年金を受給する人に一定の条件を満たした配偶者や子どもがいる際に、老齢厚生年金額が割り増しされる加算額のことです。
以下の表のとおり、配偶者や子の人数に応じて厚生年金が加算されます。
配偶者が65歳未満の場合、1年あたり22万3800円(生年月日に応じて加算あり)が老齢厚生年金に加算されます。
しかし、繰下げ受給を利用した場合には、この加給年金が受給できなくなるのです。
加給年金は配偶者が65歳に到達するまで、また、子どもが18歳に到達するまで、加算されるものです。
1年22万3800円ですので、仮に配偶者との年齢差が10歳あれば10年間で220万3800円もの加給年金が支給されることになります。
ただし、加給年金や繰下げ受給により年金の支給額が増えれば、その分、税金や保険料も高くなることをお忘れなく。
所得税や住民税、健康保険料や介護保険料など、年金額が増えれば天引き額も増えるため、必ずしも手取り額がアップするとは限りません。
公的年金には付随するさまざまな制度がありますので、世帯ごとにベストな方法を探りながら、利用する・利用しないを判断したいものです。
なお、公的年金は終身で受け取ることができる非常に貴重な収入源ですが、早くに亡くなれば結果的に「損」となる可能性もあることを念頭においておきましょう。
4. まとめにかえて
年金は老後生活における大事な「柱」です。
したがって年金の受給額が増えることはとても大切なことです。
年金収入が高ければ、それだけ安心できるように感じますよね。
しかし、繰下げ受給で年金を増やすということにだけに着目するのは危険えす。
メリットが大きい制度の裏には、ある程度のデメリットも存在します。
制度のデメリットを把握した上で、対策できる方には有効な手段だといえるでしょう。
年金を増やす以外にも、現時点から貯蓄を増やしておくということも老後に向けた大事な行動かもしれません。
コツコツ貯蓄するも良し、少額からできる資産運用を始めてみるのも良し。
さまざまな方法を模索して、ご自身に合った方法で老後対策を進めていきたいものです。
参考資料
奥田 楓也