役職定年による収入の変化

役職定年をむかえた管理職の収入水準は、全体の82.5%が下がると回答しています。

内訳をみると「約75%から99%」減少したと回答した割合が78.2%となっています。

次いで「約50%から74%」となりました。

すべての管理職に当てはまるとはいえませんが、管理職だった頃の年収に比べて、4分の1程度は下がっているといえます。

では、実際に管理職の年収がどれくらい下がるのかシミュレーションしていきましょう。

役職定年を迎えた厳しい年収事情

厚生労働省は、2023年3月17日に「令和4年賃金構造基本調査」を発表しました。

その結果、中間管理職の賃金平均は課長級で「48万6900円」部長級で「58万6200円」となっています。

役職定年をむかえた課長級と部長級の賃金から25%減額して計算すると、以下の通りになります。

  • 部長級:43万9650円
  • 課長級:36万5175円

減少額をみると、部長級で約15万円、課長級で約12万円が減額されています。

年収で考えると、部長級で約180万円、課長級で約144万円も年収が低くなる結果となりました。

こうした役職定年の導入は、優秀な若手社員の人材確保につながるメリットがあると同時に、管理職のモチベーション低下につながってしまうケースもあります。

制度が導入されて以降、こうした問題も顕在化したため、役職定年を廃止した企業も見受けられ始めました。

企業の中には、働かずに高い収入を受け取り続ける管理職がいる一方で、モチベーションを高く保ちながら、これまでのスキルや経験をもとに社員を引っ張る管理職もいます。

役職定年の導入が企業にとって必要な状況なのか、慎重な見極めが必要になるでしょう。