2. 両社とも2023年に入り業績は順調で株価も上向いたか
2023年度第1四半期の業績では、トヨタ自動車・日産自動車ともに増収増益となっています。
日産の売上が2兆9177億円(前年同期2兆1373億円)、トヨタの営業収益が10兆5468億円(同8兆4911億円)。
営業利益は日産が1286億円(前年同期649億円)、トヨタが1兆1209億円(同5786億円)でした。さらに、両社とも営業利益率が上昇しています。
トヨタは販売台数も日本・北米・欧州・アジア全ての地域において台数が前年同期比プラスになっています。
日産は、コロナ感染拡大などの影響で中国の販売台数が大幅に減少しましたが、北米・日本・欧州の台数が伸びています。
また、今後の売上につながる生産台数の伸びなどもありました。
3. トヨタ自動車と日産自動車の株価における主なリスクとは
日産自動車「2022年度有価証券報告書|事業等のリスク」、トヨタ自動車「2023年3月期有価証券報告書|事業等のリスク」や年初来の株価動向などをふまえると、次のような要因が両社の株価の主なリスク要因と考えられます。
- 市況変動
- 自動車市場の変動
- ブランド・イメージ維持に対するリスク
- 気候変動リスク
市況変動については、両社とも為替の影響を大きく受けます。
日本の大手自動車メーカーは基本的に海外売上の比率が高く、ドル円の為替動向が業績や株価に大きな影響を及ぼします。そのほか原油や鉄などのエネルギー・原材料の価格推移の影響も受けるでしょう。
全世界でみたときの自動車の需給動向は、両社の業績に直結します。
また、電気自動車や自動運転などの領域では同業他社やテクノロジー系企業との競合がリスク要因となります。競合において劣後すれば、業績悪化や株価下落の要因となるでしょう。
ブランドイメージについてはトヨタ自動車「2023年3月期有価証券報告書|事業等のリスク」に記載がありますが、日産・トヨタともグローバルな自動車メーカーとして強力なブランド力が販売台数や業績を下支えしています。
裏を返せば、ブランドイメージを毀損するような事象が起きれば、大幅な株価の下落要因となるリスクがあるでしょう。
最後に気候変動リスクも重要です。
2023年現在においては、ほとんどの自動車は化石燃料の排出が避けられません。今後気候変動の対策のために両社が追加的な設備投資を強いられたり、規制対応によってコストが増大したりすれば、業績を圧迫する要因となり得るでしょう。