3. 年金から天引きされるものは?
国民年金と厚生年金の平均額をみてきましたが、同時に知っておきたいのは年金から天引きされるものです。年金生活であっても、住民税や国民健康保険料の支払いは必要となるケースが多いのです。
まずは「介護保険、住民税、国民健康保険料(もしくは後期高齢者医療保険料)」を支払う必要がある人の条件を見てみましょう。
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3.1 介護保険料の条件
- 65歳以上の方。
- 老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方。
- 年間の支給額が18万円以上の方。
3.2 国民健康保険料
- 65歳以上75歳未満の方。
- 老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方。
- 年間の支給額が18万円以上の方。
3.3 後期高齢者医療保険料
- 75歳以上、もしくは65歳以上75歳未満で後期高齢者医療保険制度に該当する方。
- 老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方。
- 年間の支給額が18万円以上の方。
3.4 住民税
- 65歳以上の方。
- 老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方。
- 年間の支給額が18万円以上の方。
※住民税、国民健康保険料(税)もしくは後期高齢者医療保険料は、介護保険料が天引きされていることが前提条件となります。
また、一定額以上の老齢年金には、所得税が課税されます。所得税は介護保険や国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)などの社会保険料や各種控除の後、残りの額に5%(復興特別所得税を含め5.105%)をかけた金額になります。
各種控除とは、次のようなものです。
- 公的年金等控除、基礎控除相当
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 特定親族扶養控除
- 老人扶養親族控除
- 普通障害者控除
- 特別障害者控除
- 同居特別障害者控除
対象者や控除額はそれぞれ異なりますので、該当するか確認しましょう。また、扶養親族等申告書を提出しないと配偶者控除等の人的控除額が差し引かれないので、注意して下さい。
原則的に以下の方は所得税がかかるようです。
3.5 老齢年金に所得税がかかる方
- 65歳未満の方…その年の支払額が108万円以上
- 65歳以上の方…その年の支払額が158万円以上
4. 自ら老後資金を準備することが大切
これまで年金額と天引きされる内容をご紹介してきましたが、今の現役世代が受給する頃にはこの金額よりも減る可能性があります。
老後資金については、単身者か夫婦か、住んでいる地域や居住形態、生活水準、何歳まで仕事を続けるかなどによっても異なります。大切なのは、自分の状況に合わせて老後の準備をすることでしょう。
現役世代からできることとして、定年後も働ける副業を始めたり、私的年金で自ら年金を用意したり、預貯金や資産運用で資金の準備をしたりなどです。どれか一つでは足りなかったり、自身に何かあれば働けくなる場合もあるでしょう。いくつか選択肢を用意して、老後に備えてくださいね。
参考資料
- 厚生労働省年金局「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和元年度」e-stat統計表一覧
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を天引きされるのはどのような人ですか。」
- 公益財団法人生命保険文化センター「公的年金の税金はどうやって計算される?」
- 日本年金機構「年金から税金が差し引かれているとき。」
宮野 茉莉子