「つみたてNISA」や「iDeCo」などの資産運用について、世間で耳にする機会が増えている中、初めて投資にチャレンジしてみようという方も多いのではないでしょうか。
貯蓄率の減少、所得の伸び悩み、少子高齢化による年金状況の悪化などにより、日本の個人の家計は厳しい状況が続いています。
このような中、2001年に政府が打ち出したスローガン「貯蓄から投資へ」という考え方が重要になってきました。
しかし、目的を持たずにスタートしてしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあるかもしれません。
資産運用においてまず大事になってくるのは、どこに向けて資産を作っていくのか「ゴール」を設定することです。
その「ゴール」と目的に合った手段選んでいくことが大切です。
今回は第二の人生を間近に控えた今の50歳代の平均貯蓄額を眺めながら、老後対策にはどんな方法があるのかを考えていきましょう。
1.【50歳代】2人以上世帯の貯蓄額:平均1253万円・中央値350万円
ではさっそく、50歳代2人以上世帯の貯蓄額を、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」より見ていきましょう。
50歳代、2人世帯の貯蓄額平均は「1253万円」でした。しかし、より実態に近いとされる中央値は350万円です。
平均値は一部の大きな数値により引き上げられているのかもしれません。後で金額階層別の割合を確認しましょう。
その前に、20~70歳代の金融資産保有額の平均値・中央値も眺めておきます。
1.1【20~70歳代別】二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 20歳代:平均:214万円・中央値44万円
- 30歳代:平均:526万円・中央値200万円
- 40歳代:平均:825万円・中央値250万円
- 50歳代:平均:1253万円・中央値350万円
- 60歳代:平均:1819万円・中央値700万円
- 70歳代:平均:1905万円・中央値800万円
※金融資産をもたない世帯も含む
年代別に貯蓄額を見ていくと、年代が上がるごとに貯蓄額が増えていくのが見てとれますね。
30歳代・40歳代・50歳代は、教育資金や住宅資金といった削れない大きな支出を抱える世帯が多いと考えられます。中央値で比較すると、貯蓄額が大きく増えている様子は見られません。
では、50歳代2人以上世帯の貯蓄額を少し深掘りして見ていきましょう。
2.【50歳代】「貯蓄2000万円」を保有している世帯は18%
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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」
50歳代・二人以上世帯の金融資産保有額は以下の通りです。
2.1 50歳代・二人以上世帯の貯蓄額
- 金融資産非保有:24.4%
- 100万円未満:9.3%
- 100~200万円未満:5.8%
- 200~300万円未満:4.2%
- 300~400万円未満:5.1%
- 400~500万円未満:3.2%
- 500~700万円未満:5.0%
- 700~1000万円未満:5.7%
- 1000~1500万円未満:8.8%
- 1500~2000万円未満:6.0%
- 2000~3000万円未満:7.2%
- 3000万円以上:10.8%
- 無回答:4.6%
50歳代・2人以上世帯で貯蓄額が2000万円以上の世帯は全体の18.0%です。
一方で、「貯蓄ゼロ」の世帯は24.4%。先述したとおり、支出が多く貯蓄にまで手が回らないという世帯は少なくないでしょう。
退職金を老後資金に充てるから、と貯蓄を意識していない世帯もあるかもしれません。
3. 老後に向けた資産形成=投資とは限らない
冒頭で触れたように、将来に向けて漠然とした不安を抱えとりあえず資産運用しなければ!とスタートするケースは意外に多いです。
ここで大切なことは、老後の資金を確保するための方法が「投資」がベストとは限らないということです。
貯蓄とは異なり、投資にはリスクがともないます。
お金に対する価値観やリスクの許容度は人によって異なります。
自身の考えに合わない場合は別の方法を検討してみるというのも、決して間違いではありません。
上記の場合は「増やすこと」から目を離し、毎月の収支を見直してみることからスタートしてみてはいかがでしょうか。
一般的に会社員の場合、会社にもよりますが、55歳前後になると役職定年や雇用延長期間が待っており、お給料が減っていく傾向にあります。
よって50歳になった時点で、老後(60歳以降)の生活をイメージしたライフスタイルの規模にしていくことが大切といえるでしょう。
4. 自分に合った老後対策を
今回は今の50歳代のお財布事情を確認していきました。
老後対策の手段としては、長く働くということも立派な老後対策かもしれません。その分、年金受給を遅らせると、毎月もらえる年金額も増額となります。
ただし、年齢を重ねれば重ねるほど、「労働収入」に依存した生活設計にはリスクが伴うこともおさえておきましょう。
どんな老後を過ごしたいかによって、かかるお金も人それぞれ異なってきます。まずは自分の場合老後はどのぐらいかかるのか、必要資金を算出して「ゴール」設定をしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
菅原 美優
