ANYCOLOR株式会社(5032)(以下「同社」という)が、2024年4月期第1四半期決算(対象期間:2023年5月1日~2023年7月31日)を発表した。
売上高および各段階利益ともに、前年同期比で高い成長を継続しており、各段階利益は前年同期比+90%超と大幅な増益となった。
ANYCOLORとは
同社は「魔法のような、新体験を。」というコーポレート・ミッションのもと、新しいエンターテイメントを提供する会社として、VTuber(バーチャルYouTuber)グループ「にじさんじ」の運営を主軸としたエンターテイメント領域での事業展開を行っている。
ANYCOLORのVTuberビジネス
同社VTuberビジネスは、以下の4領域で構成されている。
- 「ライブストリーミング領域」:主にYouTubeにおけるライブ配信動画を中心とした動画配信活動
- 「コマース領域」:当社がIPを有するVTuberのオリジナルグッズや音声を録音したデジタル商品の販売
- 「イベント領域」:当社所属のVTuberが出演する、音楽をはじめとしたイベント主催
- 「プロモーション領域」:企業からのタイアップ広告、IPライセンス、メディア出演等の案件
VTuberグループ「にじさんじ」は日本国内を中心に、「NIJISANJI EN」は英語圏を中心にそれぞれ上記4領域で活動してしている。
ANYCOLORの国内VTuberビジネス
VTuberグループ「にじさんじ」に所属する、日本国内で活動するVTuber数は124人(前年同四半期比+12名)となった。
また、「にじさんじオフィシャルストア」「にじさんじFAN CLUB」等を利用する際に必要となる、ANYCOLOR IDは101万6000ID(前年同四半期比+61%)であった。
ANYCOLORの海外VTuberビジネス
英語圏におけるVTuberビジネス「NIJISANJI EN」の拡大に注力しており、VTuber数は32人(前年同四半期比+6名)となった。
ANYCOLORの当第1四半期業績
同社は、動画コンテンツ関連事業の単一セグメントである。
また、子会社および関連会社はないため、同社決算は単体決算となる。
ANYCOLORの当第1四半期「売上高」
売上高は前年同期比+50.9%の89億4700万円となった。
同社では売上高を以下のように区分管理している。
- 「にじさんじ」:日本国内で活動する「にじさんじ」に所属するVTuberの活動から生じる国内外での各領域の売上
- 「NIJISANJI EN」:「NIJISANJI EN」に所属するVTuberの活動から生じる国内外での各領域の売上を計上
- 「その他」:中国ビジネス(にじさんじ、NIJISANJI EN所属VTuberによるビリビリ配信等を含む)、韓国及びインドネシアで活動する「にじさんじ」に所属するVTuberの活動から生じる国内外での各領域の売上を計上
「NIJISANJI EN」売上高は前年同期比▲16.3%の16億3000万円、「その他」売上高は前年同期比▲23.5%の1億7900万円であった。
「NIJISANJI EN」の減収要因は以下のとおりである。
- 前年同期に実施した大型コマース施策が今四半期にはなかったこと
- 「NIJISANJI EN」の日本人ファンの嗜好が国内VTuberに移ることによる、国内ファンからの消費の鈍化
一方、「にじさんじ」売上高は、前年同期比+80.7%の41億2200万円と大幅な増収であった。
既存VTuberによるユニットである「ChroNoiR」「ROF-MAO」、昨年デビューの新規VTuberによるユニット「VOLTACTION」などの、ユニットプロデュース効果が順調に推移しており好調となった。
ユニット展開による売上高は、前年同期比+114.5%と急拡大している。
また、ユニット展開に加えて、4周年記念ライブイベントのBlu-rayの販売やにじさんじ甲子園関連のグッズ販売などの、にじさんじ全体としての施策も好調であった。
ANYCOLORの当第1四半期「営業利益」
直接変動費率が発注先の見直し等の、継続した原価低減活動の成果から、前年同期比▲7.6ptと改善傾向にある。
また、その他の売上原価、販管費は、事業規模の拡大に伴い売上高対比の比率は低減している。
その結果、営業利益率は前年同期比▲9.4ptと改善しており、営業利益率は前年同期比+90.5%の40億4400万円と、大幅な増益となった。
ANYCOLORの当第1四半期「経常利益」「四半期純利益」
売上高および営業利益が大幅な増収増益となったため、経常利益は前年同期比+90.6%の40億2600万円、四半期純利益は前年同期比+91.0%の27億9700万円となった。
ANYCOLORの従業員数
同社の従業員数(正社員および契約社員の合計)は、2023年7月末時点で前年同期比+36.0%の336名である。
将来のビジネス機会拡大に向けて、PM(Project Manager)人材やスタジオ・技術系人材の採用等を積極的に推進している。
ANYCOLORの業績予想
各進捗率は、
- 売上高:27.1%
- 営業利益:31.8%
- 当期純利益:31.1%
と計画対比で想定を上回る業績のため順調に推移しており、業績予想の修正はない。
ANYCOLORの配当および株主還元
同社は2017年の創業以来、剰余金配当は行っていない。
剰余期は成長投資に回し、企業価値の向上により株主還元していく。
ANYCOLORの株価
2024年4月期第1四半期決算の発表前となる、2023年9月14日の終値は3455円であった。
年初来高値は、2023年6月21日の4460円である。
大幅な増益となった第1四半期決算発表を受けて、2023年9月15日の同社株価は急騰した。
値上がり率は前日比+12.16%となり、東証プライム市場においてランキング1位となった。
2023年9月15日の終値は、前日比420円高の3875円であった。
(著者注:2023年9月15日15:00 株価情報を更新)
参考資料
石川 貴康