大手化学会社の決算内容を分析

11月初旬までに旭化成、住友化学、東ソー、三井化学、三菱ケミカルホールディングス、宇部興産の6社が、2018年3月期第2四半期(以下、Q2)累計決算を発表。また、三菱ケミカルHD、宇部興産は、10月26日にいずれも業績予想を修正しています。

そこで、各社のQ2累計の営業利益増益(全社費用控除前)が前年同期比でどうなっているか、セグメント別の傾向を見てみました。

石油化学を中心とした「汎用化学セグメント」の増益額が、全体の増益額の何パーセントを占めるかの貢献度を計算すると、各社の貢献度は旭化成98.6%、住友化学40.5%、東ソー109.7%、三井化学123.0%、三菱ケミカルHD100.9%、宇部興産113.3%となっています。

上記の中で、住友化学は医薬、農業化学、情報電子化学などの多角化が比較的進んでいるため、汎用化学セグメントの影響度は相対的に低くなっています。一方、旭化成、東ソー、三井化学、三菱ケミカルHD、宇部興産はほとんどの増益、上方修正要因が「汎用化学分野」となっています。

では、こうした増益はどのような背景によるものでしょうか。筆者の考えを以下にまとめます。

第1に、2014~2016年にかけて行われたエチレンプラントや小振りで非効率な合成樹脂プラントの設備停止により、高稼働が維持されたこと。

第2に、原料のナフサ価格が年初から徐々に値上がりし、それに応じて石油化学製品の価格をタイミング良く引き上げてスプレッドを好ましい幅で維持できたこと。中国の化学プラントが環境規制策のため減産を余儀なくされ、アジア市場での需給改善により市況が安定したこと。

第3に、各社の石油化学分野への設備投資を抑制した結果、減価償却などの資本費が抑制できたこと。

第4に、その他のファイン、スペシャリティー化学の足踏みによって、増益要因が石油化学に傾斜して出てきたこと。世界的な農業化学の不振、医薬事業の構造的転換などにより、機能性を売り物にしたセグメントや製品群は、一部の半導体材料・光学材料を例外として、円安にも関わらず伸び切れなかった。

株価は上値を追うのか

素材セクターにおける化学株の相対株価は、2016年1月を100とした指数で比較すると、他の素材をアウトパフォームしています。こうした2017年以降の強い株価のトレンドは、世界的な株高に加えて、業績の上振れを期待した動きと考えられます。では、2018年度以降もまだまだ汎用化学事業の収益が伸び続けると考えて良いのでしょうか。

筆者はこの点に関して疑問を持っています。

まず、原料のナフサ(粗製ガソリン)はOPECの協調減産で今年度下期、来2018年度も60ドル/バレルを挟んだ動きが予想され、これに伴い石油化学製品の市況も強含みで推移する可能性があります。

しかし、現在の製品市況と原料との良好なスプレッドが維持されても、肝心の販売数量は設備の統廃合を完了した現在、今の水準をさらに伸ばすことは至難の業だと思われます。

また、これまでも懸念されていた、米国の安価で競争力のあるシェールガス(エタンガス、プロパンガス)を原料にした製品のアジア市場への還流も、今年以上に懸念されるでしょう。

さらに、中国共産党大会も終わり、環境に配慮してきた鉄鋼、化学、非鉄などのプラント減産が緩んでくる可能性もあり、これも市況への懸念材料であると考えられます。

本稿は「個人投資家のための金融経済メディアLongine(ロンジン)」の記事のダイジェスト版です。全文は以下からどうぞ(有料記事)。
>>上方修正相次ぐ大手化学会社。まだ買えるのか?

 

LIMO編集部