2023年8月31日に帝国データバンクがリリースした「定期調査:「食品主要195 社」価格改定動向調査 ― 2023年9月」によると、9月より値上げとなった食品は2067品目。

2カ月連続で前年比より減少しており、値上げの勢いは鈍化しているようです。

とはいえ、値上がりした食品が値下がりするわけではありません。

特に、収入が増えない年金暮らしのシニアの人たちのお財布事情は、厳しいかもしれません。

今回は、60歳代のおひとりさまの「貯蓄額・年金額」と、高齢者の就業状況を見ていきます。現在のシニアの暮らしぶりから、老後に向けてやるべきこととは何か?を一緒に考察していきましょう。

1. 60歳代「おひとりさま」貯蓄額2000万円超は何パーセントいるのか

60歳代「おひとりさま」の貯蓄額を、金融広報中央委員「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」より見ていきましょう。

今回は、より実態に近い数値を見るために、データを小さい順に並べた時にちょうど真ん中にくる「中央値」で60歳代の貯蓄事情を見ていきます。

《60歳代「おひとりさま」の貯蓄額》

  • 金融資産非保有:28.5%
  • 100万円未満:8.0%
  • 100万~200万円未満:5.7%
  • 200万~300万円未満:4.3%
  • 300万~400万円未満:3.6%
  • 400万~500万円未満:2.7%
  • 500万~700万円未満:6.2%
  • 700万~1000万円未満:4.6%
  • 1000万~1500万円未満:6.6%
  • 1500万~2000万円未満:3.6%
  • 2000万~3000万円未満:6.8%
  • 3000万円以上:16.9%
  • 無回答:2.5%

60歳代「おひとりさま」の貯蓄額は中央値で300万円でした。しかし、貯蓄額ごとの割合を見ていくと「貯蓄ゼロ」が28.5%と、割合が高いのが気になります。

一方で、貯蓄額2000万円のおひとりさまは23.7%。円グラフを見ても、60歳代の貯蓄事情は二極化しているのが見てとれます。

近年は、定年年齢を65歳に引き上げている企業も増えてきているので、これから退職金を受け取る人もいるでしょう。

さまざまな背景がありますので、貯蓄額はご参考までに。ただ、貯蓄額500万円未満の人が半数以上を占めている状況はやや気がかりです。

老後の収入の柱となる老齢年金だけで「ゆとりある老後」を過ごすことができるのでしょうか。

いまのシニア世代の年金事情を確認してみましょう。