おひとりさまシニアの老後の暮らしぶりとは

60歳代のおひとりさまのお金事情を眺めてきました。当然ながら個人差がありますが、貯蓄ゼロの割合が多いのがやや心配ですね。

ただし、年代的にこれから退職金を受け取る方が一定数いると考えられます。退職金を老後資金に充てる予定の方もいるでしょう。

さて、老後生活に対して漠然とした不安を抱える人は少なくないと思います。老後の収入の柱となる公的年金の受給額は、現役世代の働き方により決定するため、ねんきん定期便やねんきんネットでご自身の年金見込額を確認しておきましょう。

老後の年金生活をイメージするために、いまのシニア世代の年金受給額の平均月額を確認しておきます。

●シニア世代の老後の収入(平均月額)

厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、いまのシニア世代の国民年金・厚生年金の受給額の平均月額は以下のとおりです。

【国民年金の平均年金月額】

  • 男性:5万9013円
  • 女性:5万4346円

【厚生年金の平均年金月額】

  • 男性:16万3380円
  • 女性:10万4686円

老後の年金額は「国民年金」と「厚生年金」で大きく違ってきます。【図表6】を見ていただくとお分かりのとおり、厚生年金においては、現役時代の年収や年金加入期間により年金額が決定するため個人差が見られます。

シニア世代の平均年金月額から想像する老後生活は、いかがでしょうか。年金収入だけで長い老後を過ごせる方はそう多くはないと考えるのが妥当でしょう。

老後に向けて「満足感」と「安心感」を得られる備えを

60歳代を「おひとりさま」で過ごす方に向けて、60歳代・単身世帯のお金事情を眺めてきました。

貯蓄額や年金額に対して「満足感」を得られるラインは人それぞれ異なります。しかし、人生100年時代ともいわれる長い老後生活においては、「満足感」に加えて「安心感」を得られる備えをしておきたいものです。

現役世代の頃は漠然としていた医療費や介護費用に対する不安は、年齢を重ねるごとにより身近なものになるかもしれません。しかし、リタイア後に収入を増やしたり、貯蓄を増やしたりすることは容易ではないでしょう。

このように老後と現役では取り巻く環境が違うことを念頭に、満足感と安心感の両方を得られるよう現役時代からコツコツと備えていきましょう。

参考資料

和田 直子