おひとりさま女性が考えておきたい老後のリスクと対策
豊かな老後生活を送るためには、あらかじめ考えられるリスクに対策を講じておくことが大切です。
ここでは、おひとりさま女性が取り組みたい老後対策を4つ紹介します。
1. iDeCo(個人型確定拠出年金)
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和3年度)」によると、厚生年金の老齢年金平均受給額は男性が16万3380円であるのに対し、女性は10万4686円となっており、女性は男性に比べて年金の受給額が大幅に少ないことが分かります。
公的年金で生活費をまかなえない場合は、自ら私的年金を準備しておくことが重要です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は私的年金のひとつで、毎月の拠出金を金融商品で運用し、その成果を60歳以降に年金もしくは一括金として受け取ることができます。
毎月5000円から拠出額を決められますので、家計の収支に合わせて老後資金の備えを始めてみるとよいでしょう。
また、iDeCoで拠出した金額は全額所得控除となるため、現在納めている税金負担が軽減されるのも嬉しいメリットです。
2. 個人年金保険
個人年金保険も私的年金のひとつで、支払った保険料を将来年金もしくは一括の満期金として受け取る民間の保険商品です。
個人年金保険には「定額で運用するもの」や「保険会社に運用を任せるもの」、「円建てで積み立てるもの」、「外貨建てで積み立てるもの」など多くのバリエーションがあります。
自分の運用ニーズに合ったものを見つけるためには、複数の商品を比較して検討してみるとよいでしょう。
また、個人年金保険は年間支払った保険料の内、最大4万円を所得から控除できます。
3. 医療・介護保険
ひとりで老後を迎えるにあたって、医療や介護にかかる費用も必ず考えておきたいポイントです。
医療費については「高額療養費制度があるので大丈夫では?」と思う人もいるかもしれませんが、中には健康保険の対象とならない費用もあります。
特におひとりさまで周りに頼れる人がいない場合は、「毎回通院にタクシーを使わなければならない」など想定外の出費がかさむこともあるでしょう。
また、介護についても同様で、家族や身の回りに頼れる人がいない場合は「デイサービスを利用する」、「老人ホームへ入居する」など介護のプロの力を頼らざるを得ません。
「貯蓄が足りずに、十分な医療や介護を受けられない」ということにならないためにも、しっかりと医療保険や介護保険で備えておくことを検討しましょう。
4. 生命保険
おひとりさまが見落としがちなのが、生命保険の加入です。
中には「生命保険は必要ない」と考える人もいるかもしれませんが、自分が亡くなったあとに兄弟などにお葬式やお墓の準備をお願いする場合は、生命保険で費用を準備しておくのもひとつの方法です。
ただし、生命保険に加入する際は、申し込み時にあらかじめ受取人を指定しなければなりません。
受取人に選んだ人には、お葬式やお墓の準備をお願いしたい旨をきちんと話しておくようにしましょう。
豊かな老後生活のために今できることを
おひとりさまの老後には、病気や介護、年金など考えておきたいリスクがいくつもあります。
豊かな老後を送るためには、これらのリスクに適切に対策を取っておくことが大切です。
まずは、自分が抱える老後のリスクを検証し、どのような対策を取るべきかしっかりと考えてみましょう。
参考資料
- 内閣府「令和4年版少子化社会対策白書」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報(令和3年度)」
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」
椿 慧理