高校野球の先進的な取り組み「Liga Agresiva」
選手たちが参加していたのは、「Liga Agresiva」(スペイン語で先進的なリーグ)。
スポーツを通した人材育成を掲げる法人「BBフューチャー」の取り組みで、2023年は全国28都道府県159校が参加しています。
千葉県では「LIGAベースボールフェスタ in 千葉 真夏のグッドゲーム」と題し、「選手の育成を第一に考える」「選手全員がベストを尽くし試合に関わる」「対戦した選手同士のつながりを持つ」という3つのコンセプトのもと開催しています。
これまでの高校野球では試合に出場できない選手がいましたが、原則一試合ですべての選手が出場できるように工夫。
技術向上のため、打者は木製バットや低反発金属バットを使用し、投手は直球中心の投球で自力をつけることを目指しています。
さらに細かいルールとして、「指導者が3塁コーチャーをしてもよい」「指導者はタイムをとって打者に直接アドバイスができる(1試合5回まで)」「1年生のスライダーは禁止(肘への負担が多いため)」「変化球は1打者2球まで」「指導者はタイムをとってマウンドに行くことができる」といったものまで。
試合だけでなく、LIGAが大切にしている「スポーツマンシップの学びと実践」の実施に向け、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会・中村聡宏代表理事の講習を受けます。
真剣な眼差しで講義を受ける選手たち。中村代表理事の問いに対し、自らが考えを積極的に発表するなど、本気で取り組んでいました。
【高校野球の現場】選手だけでなく、指導者も成長できる
夕方から行われた閉会式では、各校の代表が1日を振り返ります。誰かに言わされるのではなく、一人ひとりが自分の言葉で話していました。
そして最後の記念撮影のシーンでは、学校の垣根を超えて仲良く会話をする選手の姿が眩しく映ります。本気だからこそ分かり合える関係と言えるかもしれません。
筆者が一番印象に残ったのは閉会式の直後、指導者同士が話し合う場面です。選手たちのために意見を出し合う姿から、教育者としての熱い気持ちを感じました。選手はもちろん、指導者も成長できる場なのではないでしょうか。
今回は、先進的な取り組みを行う高校野球の現場を紹介しました。10月まで行うという「LIGAベースボールフェスタ in 千葉」の拡大に期待したいところです。
小野田 裕太