1カ月、普通に生活するのにどのくらいお金がかかりますか?

こう聞かれたとき、あなたはどのくらいの金額を思い浮かべるでしょうか。

もちろんこの問いに正解はありません。人によってお金の使い方が違うからです。

資産運用のご相談をいただいたお客様の中にも、5万円と答えた方もいれば、50万円と答えた方もいらっしゃいました。

公益財団法人生命保険文化センターが同じような調査をしています。

夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費を尋ねたところ、月額で平均23.2万円となったそうです。

分布でも「20~25万円未満」と答えた方が、27.5%と最多になりました。

人によって違うものの、老後生活を送るうえでの必要資金は「毎月20万円」というのが一つの目安になりそうです。

老後生活を支える柱は年金ですが、20万円という金額をひとりで受け取れる人はそう多くありません。

今のシニア世代の年金受給額を確認してみましょう。

1.「厚生年金・国民年金」公的年金制度について確認

年金の受給額を確認する前にまず日本の年金制度のおさらいをしておきましょう。日本の公的年金制度は「2階建て」ともいわれる構造です。

1.1 国民年金:1階部分

1階部分にあたる「国民年金」は、年金制度の「基礎」となり、原則、日本に住む20~60歳未満のすべての人が加入するものです。20歳以上の学生や自営業者などの第1号被保険者と、第2号被保険者に扶養される配偶者が主な対象者となります。

保険料は全員一律となっており、年度ごとに見直しが行われます。40年間、全ての保険料を支払えば老後に満額の年金が支給される仕組みです。

2.2 厚生年金:2階部分

2階部分にあたる「厚生年金」は、主に会社員や公務員などが対象となります。1階部分の国民年金(基礎年金)に上乗せする形で加入する年金で、保険料にも将来受け取る年金額にも国民年金部分が含まれます。

厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与などの報酬よって決定。老後の年金額は、この保険料と年金加入期間によって決まるため、個人差が見られます。

2. 2023年度「国民年金」満額は6万6250円(月額)

実は、自営業者やフリーランスなど国民年金のみの方は、「月額20万円」を受け取ることができません。

先述したとおり、国民年金は全員一律の保険料を支払い、40年間全ての保険料を支払った場合に満額を受給することができる仕組みです。

2023年度の国民年金保険料は、月額1万6520円です。また、新規裁定者(67歳以下)の年金額は満額79万5000円です。

つまり国民年金の場合、”ひとりで”受け取る月額は満額で「6万6250円」となります。

では、この国民年金(基礎年金)に現役時代の報酬や加入期間によって決定する報酬比例部分が上乗せされる厚生年金の場合、どのくらいの支給額になるのでしょうか。