東宝「アニメ事業」の当第2四半期(6月1日)以降について

以下では、2Q以降の同社アニメ事業「TOHO animation」について記す。

東宝の「呪術廻戦」

上述のとおり、1Qの減収要因となった。2022年1Qに「劇場版 呪術廻戦 0」(編集部注:リンク先の音量に注意)の大ヒット(興行収入138億円)があり、反動減である。

2Q以降は、2023年8月16日現在、TVアニメ「呪術廻戦 第2期」(編集部注:リンク先の音量に注意)が絶賛放映中である。

大ヒット作「劇場版 呪術廻戦 0」(編集部注:リンク先の音量に注意)とも繋がりのある話になっており、収益貢献(配信、キャラクターライセンス、商品物販、パッケージなど)が十分に期待できる。

東宝の「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」

無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」は、「小説家になろう」発祥(通称「なろう系」)のライトノベル原作の作品である。

2023年8月16日現在、TVアニメ「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 第2期」が絶賛放映中である。

本作は「なろう系」のパイオニア的作品であり、原作はシリーズ累計部数1000万部を超えた大ヒット作品である。

制作を手掛けるアニメーション会社スタジオバインドは、「本作を制作するために」(アニメ関連会社の共同出資により)設立された会社である。制作陣の本気度がひしひしと伝わる。

無職転生 第2期」も、配信、キャラクターライセンス、商品物販、パッケージ、と同社の収益拡大が期待できる作品と言えよう。

東宝の「葬送のフリーレン」

TVアニメ「葬送のフリーレン」が2023年9月29日より、いよいよ放送開始となる。原作はマンガ大賞2021で大賞に選出され、アニメ化が待望されていた作品である。2023年4月17日時点で、累計発行部数800万部を突破している。

第1話は「金曜ロードショー」(日本テレビ系)にて、2時間スペシャルで放送されることが決定している。

TVアニメ「葬送のフリーレン」が同社の収益にどのような影響を与えるのかは大変興味深い。

東宝の「SPY×FAMILY」

呪術廻戦同様に、1Qの減収要因となった「SPY×FAMILY」は、2023年にTVアニメSeason 2放送と劇場版制作が決定している。

本作については、2022年に放送されたTVアニメSeason 1が、同社の収益に対して確固たる実績を残している。

TVアニメSeason 2だけでなく、劇場版「SPY×FAMILY CODE: White」(2023年12月22日公開予定、編集部注:リンク先の音量に注意)とのセットで、3Q以降どれほどの成果を出すのか。収益貢献するソースは多方面にわたり期待できる。

東宝の「僕のヒーローアカデミア」

TVアニメ第6期(2クール)は2023年3月25日に最終回を迎えたが、放送終了後に第7期制作が発表された。

また、2023年8月6日には、劇場版第4作目となる「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」最新作の制作決定が発表となった。これまでの劇場版3作と同様に、原作者の堀越耕平氏が総監修・キャラクター原案を担当する完全オリジナルストーリーとなっている。

僕のヒーローアカデミア」は、配信、キャラクターライセンス、商品物販において収益貢献度の高い作品である。加えて、劇場公開でも貢献することとなる。

以上、同社「アニメ事業」の2Q以降は、盛りだくさんの内容となっている。

ここまで見ただけで、同社の「アニメ事業」に掛ける期待の大きさがはっきりと分かる。

東宝の海外構成比と「まとめ」

【図表4】

出所:「東宝株式会社 2024年2月期 第1四半期 決算説明資料」より著者作成

最後に、アニメ事業の国内外構成比を見る。

国内は前期の反動減などにより増減を繰り返すことがある。

一方、海外は一時的なものは目立たず、年々増収の傾向にある。

国内外構成比は、国内が爆発的に盛り上がった際には変化する。しかしながら、「異常値」を除くと、海外構成比率の上昇だけでなく、海外収入も大幅な増収傾向となっている。

今後の業績動向並びに海外動向を注視したい。

(追記:2023年8月17日12:20に、読者からの指摘により一部修正)

参考資料

石川 貴康