メルカリの業績予想

同社グループは、連結業績を見通すことが困難であるため、業績予想の公表を控えている。

成長と収益のバランスを意識した経営を継続し、次の10年を見据え改めて既存事業の成長を加速させるとともに、新規事業の創出にも取り組んでいく方針である。一方で、インフレ等の外部環境の変化が引き続き大きいことに加え、中長期の成長に向けて事業の状況や環境の変化に合わせた機動的な投資を予定している。

以上より、連結業績を見通すことが困難であると判断している。

メルカリのIFRS任意適用

同社は、2023年8月11日の取締役会において、2024年6月期より従来の日本基準に替えて、国際財務報告基準(以下、「IFRS」という)を任意適用することを決議した。

グループ内の会計基準統一によるグローバル経営のさらなる推進、ならびに資本市場における国際的な財務情報の比較可能性の向上等を目的とするものである。

IFRSによる開示は、2024年度第1四半期からの開始を予定している。

メルカリの⼦会社における繰延税⾦資産の計上

最近の業績動向及び今後の⾒通しを踏まえ、同社の完全子会社である株式会社メルペイについて、繰延税⾦資産の回収可能性を慎重に検討した。

その結果、2023年6⽉期連結決算において繰延税⾦資産を計上し、法⼈税等調整額を約40億円計上する⾒込みである、と2023年8月1日に発表した。

メルカリの配当

同社は創業以来、剰余金配当を行っておらず、2024年6月期も配当しない方向である。

当社グループは、株主への利益還元を経営の重要課題と認識しているものの、成長過程にあるため、中長期的な企業価値の向上こそが株主への最大の利益還元につながると考えている。

そのため、当面の間は内部留保の充実を図る方針としながらも、将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していくとしている。

メルカリの株価

2024年3月期第1四半期連結決算の発表前となる、2023年8月10日の終値は3571円であった。

年初来高値は2023年8月2日の3755円である。

2023年6⽉期の最高益を更新した決算を受けて、株価がどのように変動するか注視したい。

参考資料

石川 貴康