厚生年金とは公的年金の2階部分に位置する年金制度で、主に会社員や公務員などの第2号被保険者が加入します。
厚生年金の保険料は毎月の給与やボーナスから天引きされるため、給与明細を見るたびに「こんなに引かれるの?」と驚く方も多いのではないでしょうか。
例えば標準報酬月額が30万円という場合、保険料の本人負担は2万7450円となります(2023年度の水準)。
保険料の計算方法や、納めた結果「年金はいくらもらえるのか」が気になると思います。
そもそも厚生年金に加入できなければ、国民年金のみに加入することになるため、年金額も少なくなってしまうでしょう。
本記事では厚生年金保険料や受給資格、受給額の計算方法について、早見表なども使いながらわかりやすく解説します。
この記事の要約
- 厚生年金保険料の計算式は「標準報酬月額×保険料率」
- 厚生年金(報酬比例年金額)の計算式は平均標準報酬額×5.769/1000×2003年4月以後の加入月数
- 厚生年金の受給額は、年収だけでなく加入期間にも左右される
- 今のシニアが受給する厚生年金の平均月額は14万3965円だが、個人差や男女差が大きい
- 厚生年金額は繰下げ受給で上げられるが注意点がある
1. 厚生年金「保険料」の計算方法(保険料の早見表つき)
まず毎月の給与や賞与から天引きされる、厚生年金保険料の計算方法から確認しましょう。
厚生年金の保険料は、次の計算式を使って算出します。
標準報酬月額とは、給料などの報酬月額を、区切りのよい等級で区分した月額のことです。
厚生年金保険料だけでなく、健康保険料などの決定にも使用します。
また、賞与(ボーナス)の総額から1000円未満を切り捨てたものを、標準賞与額といいます。
厚生年金保険料を計算する場合、標準報酬月額の上限は65万円、標準賞与額の上限は150万です。
これらに「保険料率」をかけ合わせることで、支払うべき厚生年金保険料が算出されます。
保険料率は、年金制度改正に基づき2004年から段階的に引き上げられてきましたが、2017年9月を最後に引上げが終了し、現在は18.3%で固定されています。
ただし、実際には事業主と折半して支払うため、本人負担は上記で算出した半分となります。
例えば標準報酬月額が30万円、1回あたりの賞与が60万円というケースで考えてみましょう。
- 毎月の保険料額:30万円×18.3%=5万4900円
- 賞与の保険料額:60万円×18.3%=10万9800円
給与と賞与にかかる保険料は上記のとおりですが、これを事業主と折半するため、実際の負担額は2万7450円(給与)と5万4900円(賞与)になるということです。
なお、年に4回以上支払われる賞与の場合、標準賞与額ではなく対象月の標準報酬月額で計算されます。
1.1 早見表(年収ごとの保険料の目安)
標準報酬月額ごとの保険料の目安を一覧表にまとめました。
こちらは会社負担分は入らず、本人負担分のみの金額です。
月収が20万円なら1万8300円、30万円なら2万7450円、40万円なら3万7515円、50万円なら4万5750円が保険料の目安となるでしょう。
ただし、厳密には月収と標準報酬月額は異なるものです。
標準報酬月額は、原則4月〜6月に支給される報酬月額の平均(税引前の額面)により算定されます。
この期間に残業等で給与が高い方、反対に閑散期で給与が低い方などは、「年収÷12」と一致しないことになるため注意が必要です。
また、基本的に標準報酬月額は上記の「定時決定」で決まりますが、随時改定や育児休業等終了時の改定により、年度の途中で変わることもあります。