2. ねんきん定期便で分かる「国民年金と厚生年金」のこと

「ねんきん定期便」は、毎年の誕生月に郵送されてきます。送付形式や記載内容は、年齢によって以下のように異なります。

35歳、45歳、59歳の節目には年金加入履歴が記載されているので、記録漏れがないかも含めて確認しておきましょう。

さらに重要なのは、50歳未満と50歳以上では記載内容が異なるという点です。

2.1 ねんきん定期便の記載内容(50歳未満のケース)

50歳未満の人に送られるねんきん定期便に記載されているのは「これまでの加入実績に応じた年金額」です。

今後の納付実績はまったく反映されていないため、想定より少なく感じてしまうでしょう。

2.2 ねんきん定期便の記載内容(50歳以上のケース)

50歳以上の人に送られる「ねんきん定期便」では、現在の加入条件が60歳まで続いた場合に受け取れる「老齢年金の種類と見込額」が記載されています。

例えば現在50歳という場合では、今の年収が60歳まで続くと仮定して、見込みの金額が上乗せされているのです。

50歳未満のねんきん定期便に比べて「より実態に近い」金額となりますが、確定ではないため注意が必要です。

まだ昇給が見込まれる方、反対に役職定年などで年収が減る方などは、記載とおりに受給できないと思っておきましょう。

3. 8月支給の年金から天引きされるお金4項目とは

8月15日は、2023年度の2回目の年金支給日です。

「ねんきん定期便」に記載される年金額見込額は、いわゆる「額面」のため。8月に実際に振り込まれる年金額とは相違します。

実際に振り込まれる金額については、「年金振込通知書」にて確認しましょう。
まだ年金振込通知書を見たことがないという方のために、項目ごとの確認方法をご紹介します。

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

3.1 年金から天引きされるお金①:介護保険料額

まず確認したいのが「介護保険料」。40歳から納める「介護保険料」は、65歳までは健康保険料に含める形で納付しています。

しかし、65歳からは切り離して単独で支払うのですが、こちらが年金からの天引き形式になるのです。

ただし、年間の年金受給額が18万円未満の場合は天引きの対象外です。この場合は納付書や口座振替などで納付します。

3.2 年金から天引きされるお金②:後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)

介護保険料と同じく国民健康保険料(税)や、75歳以上になると加入する後期高齢者医療保険料なども、年金天引きの対象です。

介護保険料が天引きされているなどの条件からはずれると、普通徴収になります。また、自治体によっては申請することで普通徴収に切り替えることもできます。

いずれの場合も保険料額に変更はないので、負担の観点では違いがないでしょう。

3.3 年金から天引きされるお金③:所得税額および復興特別所得税額

年金に応じた所得税額および復興特別所得税額が、年金支払いの時点で天引きされます。社会保険料と各種控除額を差し引いた後の額に5.105%の税率を掛けた額となります。

3.4 年金から天引きされるお金④:個人住民税

所得税と同じく、個人住民税も老齢年金からの天引きとなります。ただし、年間の受給額が18万円未満などの場合は対象外です。

上記のとおり、年金からは税金や社会保険料が天引きされます。

まだ年金を受給していない世代の方は、実際に手元にはどれくらいの金額が残るのか非常に不安になってしまうのではないでしょうか。

ご参考までに、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、無職の夫婦世帯の場合、社会保障給付(年金)22万0418円に対し、直接税1万854円、社会保険料1万8945円が天引きされています。

また無職の単身世帯の場合では、社会保障給付12万1496円から直接税6660円、社会保険料5625円が天引きされています。

将来の生活設計は、「額面」ではなく天引き後の「手取り額」で考えていかなければ、大きな誤差が生じてしまいそうですね。