日本郵船株式会社(9101)(以下「同社」という)が、2024年3月期第1四半期連結決算(対象期間:2023年4月1日~2023年6月30日)を発表した。
運賃水準の下落が、物流事業を筆頭に業績に影響を与えて減収減益となった。経常利益は前年同期比▲76.3%の大幅減益であった。
日本郵船の当第1四半期連結業績
売上高は、前年同期比▲15.7%の5675億円であった。減収額▲1055億円の内訳は、物流事業で▲750億円、航空運送事業で▲255億円と、2事業の減収がダイレクトに影響した。
経常利益は、前年同期比▲76.3%の894億円であった。減収額▲2883億円の内訳は、定期船事業の▲2385億円がほとんどを占める。
為替と燃料油価格は、前年同期比で同社事業にとって有利に推移していることが分かる。
日本郵船の「利益」について留意すべき点
同社の指標では留意する点が1つある。
利益は、営業利益ではなく、経常利益で業績測定をしていることである。
同社の事業は海運を始めとして、設備投資が莫大なものとなる。そのため、同業他社と一緒になり関連会社を傘下に持つのが通例となっている。具体例としては、オーシャン ネットワーク エクスプレス ジャパン株式会社(Ocean Network Express(Japan)Ltd.、以下「ONE」という)が挙げられる。ONEは、同社が川崎汽船株式会社と株式会社商船三井の計3社で持ち合っている持分法適用会社である。
上記のとおり、同社事業では「持分法による投資損益」が非常に重要視され、営業利益ではなく、営業外損益を含んだ経常利益で考えることになる。なお、事業利益(営業損益+持分法による投資損益)を開示しているのも同様の理由による。
同社は「持分法による投資損益」(持分法適用会社の損益を株式持分比率で按分したもの)を各セグメントに配賦している(配賦比率は経営判断事項のため非開示)。
そのため、セグメント利益を分析する上でも、セグメント利益=セグメント経常利益として考えることになる。