NISA制度が改正され、2024年からつみたて投資枠が年120万円に拡大します。月10万円ですから、夫婦2人世帯では月20万円の投資が可能になります。

この「20万円」という数字。実は、夫婦2人世帯の老後の生活費に近い金額です。公益財団法人生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」 によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費の平均額は、月額23万2000円。「20~25万円未満」と考える方が最も多いという結果になっています。

老後の収入の中心となる「老齢年金」は、生活費をカバーできる水準になっているのでしょうか。今回は「20万円」を目安に、今のシニア世代の年金事情について見ていきたいと思います。

1.【日本の公的年金制度】仕組みをおさらい

年金の受給額を確認する前にまず日本の年金制度のおさらいをしておきます。
日本の公的年金制度は「2階建て」ともいわれる構造です。

1階部分にあたる「国民年金」は、原則、日本に住む20~60歳未満のすべての人が加入するものです。20歳以上の学生や自営業者などの第1号被保険者と、第2号被保険者に扶養される配偶者が主な対象者となります。

2階部分にあたる「厚生年金」は、主に会社員や公務員などが対象となります。厚生年金は1階部分の国民年金の資格を含むため、保険料にも将来受け取る年金額にも国民年金部分が含まれる仕組みです。

国民年金は収入の有無や年収に関わらず一律の保険料を支払います。一方、厚生年金の保険料は毎月の給与や賞与などの報酬よって決定するため、「現役時代の年収が将来の年金額に大きく影響する」ということを理解しておきましょう。

2.【2023年度】国民年金の満額「月額6万6250円」

今回は、老後の年金「20万円」を受給している人はどれくらいいるのかを見ていくのですが、国民年金では「月額20万円」を受け取ることができません。

2023年度の公的年金の給付水準を確認しておきましょう。国民年金の今年度の保険料は月額1万6520円、新規裁定者(67歳以下)の年金額は満額79万5000円(月額6万6250円)です。

夫婦ともに国民年金の場合、2人で月額13万2500円となります。

一方、厚生年金は国民年金に報酬比例部分が上乗せされ支給されるため、老後の年金「月額20万円」を受給する方もいます。

ただし、ひと月あたり20万円の老齢年金を受け取る方は、そう多くはないようです。

いまのシニア世代の年金に関するデータで受給額を見てみましょう。