40歳代「老後の資産形成で押さえておきたいポイント」2つ

「いま」の生活をやりくりしながら、「老後」の資産形成にも取り組みたい、そんな慌ただしい40歳代。

勤め先の退職金制度の有無や、老後の住居(持ち家・賃貸)など、世帯ごとに事情は異なります。しかし、目標とする金額は違えど「老後に向けて資産をつくる」というゴールと、「ゴールまで約20年」と要する時間は同じです。

40歳代の方が老後に向けてやるべきことは多々ありますが、資産形成において押さえておきたいポイントを2つに絞ってご紹介します。

【40歳代】老後の資産形成のポイント①:老後の家計収支の試算

先述したとおり、お金事情は世帯ごとに異なるため、「老後までに2000万円貯めよう」「年金があるから貯金は1000万円も不要だろう」と漠然と資産形成に取り組むのは非効率です。

老後の収入(公的年金や私的年金など)や生活費を現段階で分かる範囲で書き出して、家計収支を試算してみましょう。結果、赤字になる場合は、最低でも毎月その金額を補うための貯金や公的年金以外の収入が必要です。

また、税金や自宅のメンテナンス費用、家電の買い替え費用なども見積もって加えておきましょう。

将来への備えは多ければ多いほど安心ですが、まずはこうして算出した「最低でも必要な金額」を目標に老後の資産形成に取り組むことが大切です。もし、余裕があれば多めに老後資金に回してもいいでしょう。

尚、老後の主な収入源は「老齢年金」が一般的です。受給見込額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認しましょう。

【40歳代】老後の資産形成のポイント②インフレ対策

①で「老後に最低でも必要な金額」を目標に、老後の資産形成に取り組むことをお伝えしました。ただし、現在の1000万円と25年後の1000万円の価値がイコールになるわけではないことを考慮しておきましょう。

昨今の物価高騰により、多くの方が支出増を肌で感じていると思います。日本は長い間デフレが続いていたため、やや感覚が鈍ってしまいましたが、モノやサービスの価格が上昇するということは、お金の資産価値が目減りしているとも言い換えることができます。

仮に2%の物価上昇率が25年間続けば、1000万円の資産価値は約610万円です。つまり、25年間かけて610万円しか貯蓄できなかったというになります。

ほぼゼロ%の預貯金で積み立てると、実質的な資産価値の目減りは避けられないでしょう。インフレ率やそのスピードは分かりませんが、少なくとも日銀が目指すインフレ率2%についていきたいところです。

年2%のリターンを期待できる金融商品を活用して、インフレ対策もしながら資産形成をしていくことを検討しても良いでしょう。

変化に対応しながら老後への備えを!

仕事に育児に、そして「そろそろ老後対策も…」とフル稼働の40歳代。そもそも貯蓄に回すお金の捻出も大変という世帯は少なくないでしょう。

人生の三大資金「住宅資金・教育資金・老後資金」を並行して進めるためには、現状を把握して、しっかりと資金計画を練ることが重要です。そして、適宜、その計画を確認して必要に応じて見直しも行いましょう。

ひと昔前は、銀行の預貯金だけで年7~9%と資産を増やすことができましたが、いまは違います。近年は、税制優遇制度が適用される「NISA(ニーサ)」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」が注目されていますが、数年後には新たな商品が登場しているかもしれません。

このようにわたしたちを取り巻く環境は日々変化しています。ご自身のワークスタイルやライフスタイル、気持ちの変化もあることでしょう。

あらゆる変化が生じたときに一度立ち止まり、ベストな選択を更新し続けていきましょう。

参考資料

和田 直子