2. 「国民年金と厚生年金」2023年度は増額へ

厚生労働省によると、2023年度の年金額の例は次のとおり増額となりました。

  • 国民年金(老齢基礎年金):6万6250円(1人分)※1
  • 厚生年金:22万4482円(夫婦2人分)

※1 2023年度の既裁定者(68 歳以上の方)の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万6050円(対前年度比+1234 円)

厚生年金の金額「22万4482円」は、「平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準」という注釈つきです。

現役時代の収入や夫婦の働き方はそれぞれで異なるため、あくまでも目安としておくといいでしょう。

多くの方にとってプラス改定となった、2023年度の年金。その2回目の年金支給が8月15日に迫ります。

しかし、8月15日支給と10月13日支給の年金では、その手取り額が異なる可能性があるのです。次で詳しく見ていきましょう。

3. 8月支給と10月支給の年金で「手取り額」が変わる理由

年金は額面がまるごと受け取れるわけではありません。現役世代の給与からいろいろなお金が天引きされるように、高齢者の年金からも天引きされるのです。

天引きされるお金は次の4種類です。

  • 個人住民税
  • 所得税および復興特別所得税
  • 介護保険料
  • 健康保険料(国民健康保険や後期高齢者医療制度)

最大で4つのお金が年金から天引きされるため、額面と振込額は一致しないことが一般的です。

このうち、住民税や介護保険、健康保険などは、10月に本決定されることがよくあります(自治体によって時期は異なります)。

例えば後期高齢者医療の保険料の場合、7月に保険料が本決定することが多いです。しかし4月・6月・8月に天引きするお金は「仮徴収」といって、前年の2月と同額を天引きします。

7月に決定された天引き額が反映されるのは、10月からになるのです。

もし前年の所得が一時的にあがった場合、4月・6月・8月に天引きした金額では大きく不足します。このため、残りの10月・12月・2月で天引きする金額はかなり多くなってしまうケースもあるのです。

高齢者の場合、そこまで所得に変動がないと思われるかもしれませんが、株や不動産の売買で一時的に所得が多くなった方は実際にいらっしゃいました。

税金や保険料に反映されるのは1年以上あとになるため、注意が必要なのです。

もちろん、逆に所得が減って天引き額が減る=手取りが高くなるケースもあります。

手取り額は年金振込通知書で確認している方も多いかと思いますが、こちらも仮の金額が記載されているため、実際の天引き額は税金や保険料などの決定通知書で確認するようにしましょう。