信越化学の新たな投資

同社は、2023年7月27日、シリコーン製品構成の高機能化と環境配慮型シリコーンの拡充に取り組むことを発表した。投資額は1000億円規模となる見込みである。

シリコーンは同社の主力製品であり、自動車、半導体、通信分野など幅広い分野で利用されており、需要も年々拡大している。
高機能化については2022年2月に800億円の投資計画を発表済みで、投資計画は一巡している。
今回は高機能化だけでなく、カーボンニュートラルに役立つ環境対応製品への取り組みを発表したことが特徴的である。

国内では主力工場である群馬に加えて、新潟、福井にある各工場、海外ではタイ、アジア各国、米国、ハンガリーにある各工場にて生産能力を増強する。

信越化学の業績予想修正

インフレ沈静化を目指し継続される金融政策が景気を下押しする一方で、地政学上の問題も引き続き世界経済を揺り動かしている。
中国経済の復調は期待通りには進まず、その他地域の景気減速も懸念される。

同社および同社所属の産業が受ける逆風は、これからしばらく強まることがあっても、弱まることはないと見込まれれる。

そのため、通期の業績予想は依然として厳しく、通期業績予想を下方修正するに至った。

信越化学の配当

剰余金配当は、中間、期末ともに1株当たり50円、年間で前期と同額の100円 (前期に実施した株式分割前の500円に相当)を予想する。

信越化学の自己株式

2023年7月27日開催の同社取締役会にて、「自己株式の取得」と「取得した自己株式の消却」が決定された。
資本効率の向上および株主還元を目的として行う。

信越化学の株価

2024年3月期第1四半期連結決算の発表前となる、2023年7月27日の終値は4606円であった。
年初来高値は2023年7月3日の4964円である。
当上期決算、通期業績予想の下方修正、新規投資策の発表を受けて、2023年7月28日の終値は前日比41円安の4565円となった。

参考資料

石川 貴康