3. 【厚生年金】年金から天引きされるもの3つ。年金振込通知書とは
天引きされる内容は、受給開始後に毎年6月に郵送される「年金振込通知書」で確認できます。
天引きされる金額は居住地や所得によって異なります。今回は東京都八王子市に住む女性(76歳)の例としてシミュレーションをします。
3.1 【厚生年金】年金から天引き1.「税金」
厚生年金が月額15万円の場合、年間収入は180万円です。収入が年金のみの場合は、所得税として4623円、住民税として1万6500円が天引きされます。
3.2 【厚生年金】年金から天引き2.「介護保険料」
年金年額が18万円以上の場合、介護保険は強制的に年金から天引きされます。八王子市を例に挙げると、年金収入が180万円の方の介護保険料は年額7万9400円となります。
3.3 【厚生年金】年金からの天引き3.「健康保険料」
年金から天引きされる健康保険料は、「国民健康保険」か「後期高齢者医療制度」か、で変わります。今回の事例の女性は76歳なので、後期高齢者医療制度の保険料が天引きされます。
東京都後期高齢者医療広域連合の所得割率と均等割額を用いて計算すると、保険料は年間約4万8800円です。
4. 【厚生年金】額面15万円の手取りはいくらか
先程の天引きされる税金や保険料を合計すると年間で約15万円でした。
- 180万円-15万円=165万円
額面は15万円でも毎月税金や保険料で1万2500円が天引きされ、手取り月額は13万8000円となります。
※あくまでも概算です。また天引きされる金額は年度途中に決定するため、1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。
額面15万円を受け取れるつもりが、実際には予想外に天引きされていて、少し落胆してしまいますよね。
15万円と13万8000円では、予定している生活費も変わるでしょう。
5. 老齢年金の仕組みを正しく理解して、老後の準備をはじめよう
今回は、老後の年金から天引きされる税金や保険料について確認しました。
年金も現役時代のように天引きされる金額が多くて、落胆されるかたもいるでしょう。
年金額を増やすには「繰下げ受給」があります。
ですが、年金額を増やしても天引き額がアップしてしまい、手取りも減ってしまうという事態もあります。
複雑でわかりづらい年金制度ですが、しっかりと理解し、将来のお金について考えることが、ゆとりある生活を送る上で必要なことかもしれません。
参考資料
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)
- 厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
川村 哲之