総務省「地方公務員給与実態調査」(令和3年4月1日)によると、一般職員の定年退職時(25年以上勤続した場合)にもらえる全地方公共団体の退職金平均額は、約2109万円です。

地方公務員や大企業に長年勤務していれば、老後前に退職金としてまとまったお金を期待できるでしょう。

しかし、近年は退職金制度を廃止する企業も増えているようです。退職金課税を見直すといった話も浮上しており、老齢年金と退職金だけで年金暮らしを…というわけにはいかないかもしれません。

現役時代のいま、老後に向けて備えておきたいものです。

そこで気になるのがみんなの貯蓄事情。今回は、老後が目前に迫った50歳代の貯蓄について見ていきます。

かつて話題となった老後2000万円問題をクリアしている世帯はどれくらいいるのでしょうか。

1.【50歳代】金融資産保有額を20歳代~70歳代と比較

50歳代の金融資産保有額を見る前に、20歳代~70歳代の貯蓄額を見てきましょう。

金融広報中央委員会が公表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和4年調査結果」によると、20歳代~70歳代の二人以上世帯の金融資産保有額は以下のとおりでした。

  • 20歳代:平均:214万円・中央値44万円
  • 30歳代:平均:526万円・中央値200万円
  • 40歳代:平均:825万円・中央値250万円
  • 50歳代:平均:1253万円・中央値350万円
  • 60歳代:平均:1819万円・中央値700万円
  • 70歳代:平均:1905万円・中央値800万円

年代が上がるごとに金融資産保有額が大きくなっているのが見てとれます。50歳代は平均1253万円・中央値350万円です。

平均値は一部の極端な数値に引っ張られてしまうため、数値を大きい(小さい)順に並べてちょうど真ん中にくる中央値を参考にしておきましょう。

50歳代の中央値350万円を目安として考えると、心もとないといえそうですね。50歳代はようやく教育資金、住宅ローンのゴールが見えてくる年齢。これから本腰を入れて貯蓄を始めようとする年代なのかもしれません。