日経平均は半導体関連銘柄などが下落
2023年7月21日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比186円27銭安の3万2304円25銭となりました。前日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸したものの、ナスダック総合株価指数は下落していました。ハイテク株が売られたことを受けて、日経平均も半導体関連銘柄が売られる展開となりました。
大きなきっかけとなったのは、半導体受託生産大手・台湾積体電路製造(TSMC)の決算です。同社は20日、2023年4~6月期決算を発表しましたが約4年ぶりの減収減益となりました。2023年12月期通期の見通しも下方修正したことから同社をはじめ、米半導体関連株にも売りが広がりました。
国内でも、アドバンテスト、東京エレクトロンなどが売られ、指数を押し下げました。一方で、ニデックが20日に発表した決算では、2023年4~6月期の連結決算で純利益が四半期としては過去最高を更新したことから、指数は下げ渋りました。
今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。21日の米株式市場でダウ工業株30種平均は、前日比2ドル51セント高の3万5227ドル69セントで終えています。10日続伸です。10日続伸は2017年8月以来です。TSMCショックの影響は小さいようです。ただし、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落しています。テクノロジー銘柄が売られているようです。日本株も週初から底堅い展開になることが期待されます。
25~26日には米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれます。市場では0.25%の利上げが確実と見られています。注目されるのは「その後」ですが、そろそろ利上げ終了を見込む楽観的な見方が増えています。足元の株高もその表れです。ただし、FOMC後、パウエル議長の記者会見をはじめとする要人の発言がタカ派になると失望売りにつながる恐れもあります。そういったことから、FOMCまでは様子見傾向になるかもしれません。
21日の東証プライムの売買代金は概算で3兆1288億円でした。20日には活況の目安とされる3兆円を下回っています。海外勢が夏休みに入り、やや商いが薄くなっているように思われます。要人の発言などを受けた急な値動きには注意したいところです。
25日線を超えられず上値が重い
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週は下落が続き、25日移動平均線を割り込んでしまっていました。ここから25日線を回復でききるかどうかがポイントでした。実際には、25日線付近まで反発したものの、そこから上値を抑えられるようにまた下落してしまいました。
今後の展開はどうなるでしょうか。気になるのは、足元の調整で25日線が下降してしまっていることです。このまま下降を続けると75日線を上から下に割り込み、デッドクロスが形成されてしまいます。
短期的な下値メドとしては7月12日の押し安値(3万1791円)になります。ここを割ると6月19日の高値(3万3772円)を始点とする下降トレンドがさらに意識されるようになります。逆に6月19日の高値を上抜けるようであれば、3月下旬からの中期的な上昇トレンドが再度構築され、上目線になれます。
3月下旬から急上昇してきたことから、しばらく高値圏でもみ合いになることも予想されます。判断が難しい場合は、もみ合いを抜けてから出動しても遅くはないでしょう。まずは今週、25日線を回復できるかどうか注目したいところです。
参考資料
下原 一晃